政策

東京都 環境確保条例改正で答申 新築住宅への太陽光設置義務化へ 設置除外の柔軟措置も検討

 東京都において、住宅等の一定の新築建物への太陽光発電設備の設置義務化が確定的となった。8月8日の東京都環境審議会で「環境確保条例」の改正について答申されたもの。都は今後9月上旬を目途に「カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針」を策定する。太陽光発電については多くの意見公募の結果等も踏まえ、同答申には正確な情報発信の重要性や設置除外の柔軟的措置の検討などが盛り込まれた。

 同審議会は昨年5月、都知事から東京都環境基本計画の改定について、同10月に環境確保条例に定める関係規定の改正について諮問を受けた。特に後者では、企画政策部会の下に分科会として「カーボンハーフ実現に向けた条例改正のあり方検討会」を設置し、同11月の議論開始からこれまでに10回の検討会を実施。その間、都は事業者からの意見表明の機会を設けると共に、今年5月~6月に中間まとめの意見公募を実施。都民および事業者から3779通に及ぶ意見が寄せられた。

 これらを受け、同答申では、直面するエネルギー危機と一層深刻化する気候変動の危機を踏まえ、都の掲げるHTT(エネルギーを「減らす・創る・蓄める」の頭文字)戦略推進の必要性を明記。建物のゼロエミッション化、再エネの基幹エネルギー化、意欲的に取り組む事業者の後押しを遂行し、30年カーボンハーフ実現へ向けた制度強化を図る考え方を示した。

 また新築建物、既存建物、都市開発など、関連する6つの制度について5月の中間まとめから大きな変更点はないが、中小の新築建物を対象に太陽光発電、ZEV充電設備の整備が義務化される新制度について、年間都内供給総延床面積が合計2万m2以上の住宅供給事業者等を対象とする点を追記。太陽光発電設備に関しても、日照等の立地条件や住宅の形状を考慮し、事業者単位で設置基準の達成を求める仕組みであるとした。

 意見公募では太陽光発電に関する意見は全体の98%となる3714通と高い関心が寄せられ、全年代で56%が賛成、41%が反対。20代、30代では6~7割が賛成となった。都はこれらの意見に都の考え方を丁寧に記した上で、「若年層ほど太陽光発電設備の義務化に賛成の割合が高く、気候変動問題に対する切実な危機感を表す意見が寄せられた」(都担当者)。同答申では、太陽光発電に関する正確な情報発信や都民・事業者とのコミュニケーションの充実のほか、屋根面積が狭い住宅等については設置を除外できる仕組みの検討等を追記。また、注文住宅の施主や建売分譲住宅の購入者など住まい手側に求める規定の整備を図ると共に、都知事の責務の規定を盛り込むこととした。

「基本方針」9月公表へ

 今後、都は条例制度改正の基本方針を策定し、9月上旬に公表する予定だ。その後、都議会での議論を深め、一定の周知の期間を経て施行される。なお、都では「太陽光パネル設置に関するQ&A」などを作成、公表している。