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大言小語 日本の明日

 日本に残った唯一の矜持は世界第三位の経済大国。しかし経済大国という自信と活力、諸外国からの羨望と期待、成熟国家としての方向性は見当たらない。あるのは国民の将来不安、末期的政治腐敗、建て前論議だけの軽薄な社会である。本州を覆う梅雨空のごとく、この国の未来は暗い。

 ▼梅雨時は時間までもが疲れた猫のようにのろのろと進む。これまで日本の文化や消費をリードしてきたといわれ、多少得意気に生きてきた団塊世代も今や活力を失い、リードする消費は元気印のサプリメントのみ。しかし、衰え行く国家と自らの老化とを重ね合わせて人生を回顧できる幸せな世代である。

 ▼それとは対照的に、人生の青春と国の老衰期が重なる今の若い世代は不幸だろうか。好景気を知らない世代などと同情されることもあるが、時代は必ず、次に日本が生まれ変わるときに必要な人材を静かに育んでいると信じたい。

 ▼経済であれ、軍事であれ、もはや「大国主義」に未来はない。バブルどころか、右肩上がりの高揚感も団体行動がもたらす危うさも知らない世代が、静かに内に育む感性とは

いかなるものか。明日を「明るい日」と信じられなくとも、せめて人間を信じる「人明主義」(筆者造語)につながる崇高な息吹のようなものであってほしい。若者の瑞々しい感性を信じなければ、どの時代のどの国家も明日を切り拓くことはできないのだから。