売買仲介

買取再販で10周年 拠点拡大加速 地域密着で売上330億円へ レジデンシャル不 内田廣輝社長に聞く

 中古マンションの買取再販を主力事業とするレジデンシャル不動産(東京本社・東京都足立区、さいたま本社・埼玉県さいたま市)は今年2月で設立10周年を迎えた。現在北海道から九州まで13拠点を抱え、更に4拠点の新規開設を控える。マンションストックが集中する各都市の中心部ではなく、あえてその周辺地域に進出するという独自路線で売り上げを伸ばす。内田廣輝社長にその事業戦略を聞いた。       (聞き手・井川弘子)

 ――足元の業績は。

 「この10年間、年々売上高は伸び、第10期は約1200戸を販売し、売上高250億円を達成した。第11期は330億円を計画する。実需向けの中古マンションの買取再販戸数で業界トップを目指す」

 「事業スキームとしては、住戸単位で物件を仕入れ、リノベーション工事を行った上で販売する。設計や工事、ホームステージング、アフターサービスまで一貫して自社で行う。物件の仕入れや再生後の販売は仲介会社に依頼している。仕入れから販売までは平均180日だ。配管や躯体部分には10年保証を付けている」

 ――展開方法が特徴的だ。例えば首都圏では東京や神奈川には進出せず、千葉や埼玉を基盤とする。その理由は。

 「地域に精通することが強みになると考えるからだ。もともと大手流通会社に勤めた後、12年に創業したが、その際、自分の出身地である埼玉県春日部市からスタートした。まずは市内にあるすべてのマンションについて特徴や流通価格を覚えた。土地勘があるので、駅から同じ距離の物件であっても引き合いが強いかどうか分かる。それによって、仕入れや販売時に、競争力のある価格で取引できる。実績が積み上がるにつれ、仲介会社からの情報も集まるようになった。そしてその手法を隣の市で、更に隣の市へと拡大していった。埼玉県の中でも大宮などの都市部には進出せず、周辺エリアで展開。同じようにほかの地域にも広げていった」

 「この1年間で新たに大阪、福岡、千葉、神戸の4拠点を、今年2月に札幌支店を開設し、全13拠点となった。4月には広島、6月には京都にも開設する予定だ」

 ――各拠点での人材の確保や育成方法は。

 「開設時には本社から社員が行き、地元で人材を採用し、軌道に乗るまで育成・サポートする。採用時には、あえて不動産業未経験者を採用する。そして駅ごとに担当者を割り振り、そのエリアのマンションすべての情報を頭に入れることから始まる。どの都市でも競合の多い中心部ではなく、その周辺エリアを狙う。マンションストックの数は少なくても徹底することが強みとなる」

 ――CSRも積極的だ。

 「地元の人に支えられてきたので、その地域に貢献していきたい。例えば子供たちにスポーツの楽しさを知ってもらいたいので、子供向けの野球教室を開催している。また昨年からは、こども食堂応援プロジェクトとして、当社の販売物件の案内件数に応じて(1件当たり100円)、こども食堂に寄付する取り組みを始めた。今年も引き続き、実施していく」