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三菱地所「災害ダッシュボードBeta」 実装見据え災害時情報連携

 三菱地所は、大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアにおける官民連携による防災の取り組みである情報連携プラットフォーム「災害ダッシュボードBeta」の実証実験を実施した。今回の実証実験では、「公式ツイッターに着目し、(災害ダッシュボードへの専用情報の)手入力の解消」(澤部光太郎スマートエネルギーデザイン部都市計画部統括)を図る。東京都千代田区、鉄道事業者などからの帰宅困難者受け入れ施設情報や鉄道運行情報などの関連ツイートを、大丸有エリア内のビルに設置されたデジタルサイネージに表示する。同社は、千代田区と22年度中の実装検討を見据え、「Beta」と位置付けた。

防災関連のツイッター情報表示実験

 「災害ダッシュボード」は、デジタルサイネージ版とウェブ版で構成され、実証実験期間は、21年11月から22年2月までの4カ月間。今回は、ツイッターを利用した情報提供のほか、エリア内の約100台のデジタルサイネージに対して緊急放送の遠隔機動、エリア巡回バスによる災害時の負傷者搬送の実験を行った。デジタルサイネージ版では、災害時の公式ツイッター情報を、自動的に取り込む。画面上のQRコードを読み取ることで、リアルタイムな施設の満空室情報を確認できる。

 巡回バスによる負傷者搬送は、同社と千代田区、日の丸自動車興業、JR東日本の協定に基づくもので、エリア巡回バス「丸の内シャトル」で、車椅子に乗った中等症相当の負傷者を、丸の内二重橋ビルと丸ビルの仮救護所、JR東京駅を経由して聖路加メディローカスへ搬送する。

 デジタルサイネージによる緊急放送をリモートで切り替えができるように遠隔操作装置を試作。緊急切り替え機とスマートフォンアプリで、夜間などスタッフがオフィスにいなくても対応できるようにする。

 大丸有エリアにおいては、帰宅困難者が約4万2000人、受け入れ施設の定員を約2万5000人と推計。18年度には、災害時の負傷者情報や被災状況など、街と人の情報をリアルタイムに収集・提供する「災害ダッシュボード2.0」の実証実験を実施した。一定の成果を得て、20年1月には同「3.0」、昨年は災害対策支援機関などとの情報共有やデジタルサイネージなどを活用した同「4.0」の実証実験を行っている。