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西武HD、アウトドア事業に参入 新事業領域の展開本格化 外部ベンチャーと合弁会社

 西武ホールディングス(後藤高志社長)は10月1日、子会社である西武造園とキャンプ場検索・予約サイトなどを運営するR.project(千葉県安房郡、丹埜倫社長)と共に、アウトドア事業推進を目的とした合弁会社を設立した。後藤社長は、「アフターコロナを見据えた新たな事業」としてアウトドア事業を捉えており、軽井沢や箱根など国内にグループが保有するリゾート不動産や、西武造園が持つ公園運営のノウハウを活用。新会社を通じて「アウトドアの新たな層に門戸を広げる」(後藤社長)としている。新会社は、25年には30拠点以上の公園でのアウトドアを展開、30年度までに西武グループの私有地を使った5拠点以上のキャンプ場を運営する計画だ。

 新会社「ステップアウト」(東京都豊島区南池袋、後藤修久社長)は、西武造園が51%、R.projectが49%を出資して設立した。同社がアウトドア事業を展開する上で、西武造園が全国規模で管理する公園や、西武グループの私有地を活用する。公園を最も身近なアウトドアの入り口と捉え、バーベキューなどエントリー層を取り込み、西武グループのキャンプ場での本格的なアウトドアを体験してもらう。R.projectがDXを活用して公園やキャンプ場のアウトドアに関する運営ノウハウや人材などを提供する。

 新会社でノウハウや事例を蓄積して、将来的に外部の私有地や遊休地においても連携を図り、外部資金を活用しながら拡大を図る。西武ホールディングスの後藤社長は、「30年までにステップアウト関連施設利用人数を年間100万人、国内関連市場1兆円を目指す」とした。

 R.projectの丹埜社長は、今回の合弁会社について「西武グループは、レジャーの楽しみ方を黎明期から果敢に取り組んできた。日本の観光レジャーのパイオニアである西武グループの後藤社長からお声を掛けられて大変身の引き締まる思い」と語った。

 R.projectとの提携によるアウトドア事業の推進は、西武グループにおいて、今回中心的な役割を担う西武造園の事業拡大のみならず、リゾートを中心とした遊休地の有効活用、森林活用によるサステナビリティアクションの推進、顧客データ基盤の連携による幅広いサービスの提供にも寄与するなど、グループ横断的な事業シナジーの創出につながると見ている。

 西武ホールディングスは、中期経営計画においてアフターコロナを見据えた具体的な新規事業の立ち上げを提示。「新型コロナで前年度は上場以来初の赤字となった。これを奇貨とし、主にプリンスホテルが持つアセットを売却して運営を主体とするアセットライト経営を目指していく。アウトドア事業を経営改革の大きな柱にしていく」(後藤社長)。アウトドア事業は、プリンスホテルとも連携しキャンプと組み合わせたレジャーのほか、ワーケーションなどにも取り組む方針だ。