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森記念財団 日本の都市特性調査 大阪が初の1位、電子化など高評価 コロナ収束後は「デュアルライフ」進展も

 森記念財団都市戦略研究所は8月24日、「日本の都市特性評価2021」を公表した。全国主要138都市と東京23区を対象に定量・定性データを基に分析し、各都市の強みや弱みを明らかにしたもの。今回で4回目となる。総合では、1位が大阪市、2位が京都市、3位が福岡市となった。大阪市が調査開始からトップだった京都市を抜いた。「コロナの影響は、全国で起こることなので簡単には言えない」(委員長の市川宏雄明治大学名誉教授)とし、新型コロナの影響は別途調査した。また、コロナ禍で在宅勤務は、大都市で顕著だったが、地方都市ではそれほど進まなかった。人口流動も都心への人口流入は止まっておらず、郊外と都心の不動産価格上昇要因となっており、コロナ収束後は「移住ではなくデュアルライフが進むのではないか」(同)と分析する。

 都市を構成する「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野、86指標をスコア化して評価した。DX推進や自転車利用の促進など社会環境の変化を反映すべく6指標を新たに追加した。

 上位10都市の顔ぶれに変化は見られなかった。大阪市が1位になったが、「コロナで旅行者が減っているが、全国的に影響を受けており、トップの入れ替わりとは関係ない。大阪は、自転車の利用や経済ビジネスの評価の高さに加え、電子自治体推進度と教育機会の多様性がトップで、このあたりが要因となった」(同)と分析した。新たに追加された三鷹市は、「経済・ビジネス」「研究・開発」「交通・アクセス」の各分野で高評価となり、26位だった。

 一方、東京23区は千代田区、港区、中央区のトップ3は昨年と変わらず大きな変化はなかった。渋谷区は、新宿区を抜いて4位に入った。アンケート指標である自然環境の満足度で、イベントホール座席数で文化・交流のスコアをそれぞれ伸ばして順位を上げた。

在宅普及、大都市が中心

 コロナによる働き方の変容により、在宅勤務が普及する中、居住満足度で三鷹市、福岡市、西宮市で高い評価。また、住宅の広さでは高岡市が最も高く、東京23区では、トップ3の都心3区ではない葛飾区、世田谷区、練馬区の評価が高かった。

 DX推進に関しては、行政手続きのオンライン化推進度合いで大阪市がトップ。東京23区では練馬区が高かった。災害時の安全性に関しては、自然災害の起きにくさや火災、地震、水害などが起きた場合の安全性の高さの評価では三鷹市、厚木市、相模原市が高かった。環境への意識の高さに関しては、リサイクル率の評価で鎌倉市、倉敷市、調布市が高かった。

 新型コロナ流行前後の就業・就学状況による調査では、在宅の割合は、港区や中央区など大都市で高くに出ていることが分かった。また、業種別では、「情報通信業」、「学術研究、専門・技術サービス業」で在宅勤務が進む一方、「農業、林業」や「漁業」では大きな変化はなかった。