マンション・開発・経営

エスティア・鶴巻通雄社長に聞く 30周年機に新事業「ONE BOX」始動 〝体験共有サービス〟で需要拡大

 投資用ワンルームマンション販売を主軸とした不動産投資関連事業を展開するエスティア(東京都港区、鶴巻通雄社長)が、30周年の節目を迎える。それを機に、新たに〝体験共有型サービス事業〟と銘打つ「ONE BOX(ワンボックス)」を立ち上げた。同事業の詳細について、鶴巻社長に話を聞いた。(聞き手・佐藤順真)

 エスティアは92年6月に設立され、東京23区を中心とした投資用不動産の販売や資産運用コンサルのほか、グループ会社では管理等の賃貸関連業務などを手掛ける。鶴巻社長は「投資用ワンルームの不動産企業で、30年の歴史がある会社はそう多くない。その信頼と実績、知見の蓄積は当社の強み」と語る。

 他方、コロナ禍も含めた社会環境の変化に伴い、数十年にわたり培ってきた事業手法が変革を迫られていることも事実だ。鶴巻社長は特に、従来の電話営業中心のスタイルに代わるアプローチのあり方を重視。また無料セミナーを通じた集客活動も行っているものの、同様の催しは多く、「差別化が難しい」などの課題が顕在化している。

 そこで「当社の商品を必要としている人に、どのように伝えるか」(鶴巻社長)を掘り下げ、具体化したのが「ワンボックス」だ。これは、同社の顧客やその関係者、商品提案のターゲット層を対象とし、無料または低額の会員制イベントを通じた交流の場を設けるというサービス事業。社員が外部の異業種交流会などを通じて見込み客にアプローチしていることを鑑み、自らそうした〝場〟を創出しようという試みが出発点だという。

 顧客サービスに加え、営業提案やニーズの掘り起こしという意図が土台にあるものの、「それらが目的のすべてではない」と鶴巻社長は話す。30周年という節目を迎え、「顧客への感謝と共に、投資用不動産という長期スパンの商品を扱う上で、〝顧客の人生設計を総合的にプロデュースする企業〟へ進化していくための具体的なアクション」と位置付ける。

 現在は、同社HPなどを通じて周知を図っている段階。個別のイベント企画については「まだ手探り」としつつ、「まずは『面白そうな会社』と思ってもらえれば。そして当社のイメージだけでなく、投資用不動産業界のイメージも向上させていきたい」と鶴巻社長はビジョンを述べた。