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大言小語 リーダー不信

 オリンピックを開催すべきかどうかの議論が活発化している。しかし、最終決定権を持っているのは日本政府でも東京都でもなく、IOC(国際オリンピック委員会)だと言う。もしかして、そういう契約にしているのは、外国選手団や国民の命を犠牲にしてでも強行しようとする国が万一現れたときに、IOC権限で止めさせることができるようにするためか。

 ▼ところが今はIOCと日本政府がタッグを組んで強行しようとしている。無謀と思うのが普通の感覚だが、万一土壇場で日本政府がはしごをはずされ、IOCから中止勧告を受けるようなみっともないことだけはしてほしくない。

 ▼日本が今、直面している危機は、政府と国民の意識との大きなズレである。国民の声が政府に届かないこと自体が日本の危機である。日本の首相は党内力学で選ばれるため、その意識が国民ではなく党内勢力に向けられてしまうのだとすれば、これほどの危機はない。自然災害の甚大化、軍事危機増大、テロの脅威などを踏まえれば、日本のリーダーもそろそろ国民の直接選挙で選ばれるようにすべきときではないのか。

 ▼オリンピックと国民の命のどちらが大事なのか、という判断がそれほど難しいとは思えない。にもかかわらず、これほどの混乱を招いているのは、日本の総理もIOC会長も共にその選出のありかたを見直す時期にきているという証左ではないだろうか。