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コスモテクノロジー 大型オンラインセミナー テックで業務と顧客満足向上

 不動産DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するコスモテクノロジー(東京都中央区)は、賃貸管理・仲介、売買仲介会社向けに、不動産テックの活用を考える『不動産テック大型オンラインセミナー』を5月12日に開催した。同社を含めた不動産テック企業17社の担当者が登壇し、入居者募集から契約後まで、一連の賃貸取引で活用できる最新技術サービスの特長などを紹介した。

 冒頭、日本賃貸住宅管理協会(日管協)直前会長の末永照雄氏(アミックス社長)は、「激しいビジネス競争の中、サービス品質の向上とコスト低減が重要であり、その実現には業務の分業化やIT化が必須になる」とあいさつ。続いて5つのテーマごとに、セミナーとパネルディスカッション形式により、全管協総研の梶宏輔氏(三光ソフランホールディングス)と春木真愛氏(コスモテクノロジー)の司会で進行した。

 各テーマの要旨として、「ウェブ内見・内覧」は、コロナ禍の影響で遠隔地でも可能なオンライン接客の需要が増えている。情報量の増加で反響数は伸びているものの、成約に結びつかない。ただ、これまでの賃貸領域から売買領域にも広がる360度撮影のVR(仮想現実)ツールを導入した企業では、物件内容が分かりやすく伝わり、訴求力が強いため、リアル対面の接客よりも成約数が増えた現状もあると紹介した。

 「電子・ウェブ申込」で、入居申込情報の電子化は、手入力の手間を省き、保証会社の審査を含めてリアルタイムに情報を連携できる。各社から優れたサービスが提供されている。どのサービスを選択するかだけの観点ではなく、物件情報と個人情報を最適に紐づけて次の手続きの電子契約との連携を見据えること。これらシステムを円滑につなげ、業務の全体最適化を考えることが業務効率化に加え、顧客利便性の向上につながると解説した。

 「電子契約」は、各社の提供するサービスの機能面では大差がないが、セキュリティ性や本人認証の機能に着目して導入することで最適な運用を可能にして、業務効率化やコスト低減に期待できる。導入に際しては、どうしても相手の事情で残ってしまう紙書類やITを使えない顧客だけを強く意識しがちだが、駐車場契約や更新時などできるところから始めてみる。その準備があれば、審議が活発化している法改正後に対応しやすい。単純な電子化でなく、仕事のスピードを速め、新しい業務の姿を実現できると説明した。

 「入居者向けアプリ」は、小規模企業でも大きな開発の必要がなく容易に導入でき、賃貸管理会社と入居者をつなぐ。コロナ禍で入居者相談が増えたが、少人数でも対応できる。チャット機能で自己解決を促し、電話などの問い合わせ数自体も減らせる。物件ストック時代に賃貸管理業務は、より一層の付加価値を提供する重要性が増している。問い合わせの入居者ストレスを低減し、事業収益の向上にも効果があると紹介した。

 「オーナー向けアプリ」は、巡回点検結果などの書類を容易に作成して報告し、写真を簡易に取り込めて修繕工事の提案にも活用できる。作業時間の短縮化で報告の頻度が高まる。お知らせや写真、動画などの情報を容易に共有できるため、伝達の不備を防ぎ、オーナーの満足度が高まる。これが管理物件の増加を得ることになる。これまでの物件管理から資産管理の観点が重視される時代となり、簡単に導入できて効果のあるアプリは、収益性を高めると説明した。

 登壇した17企業は次の通り。いい生活、いえらぶGROUP、パレットクラウド、弁護士ドットコム、リヴォート、アットホーム、GMOグローバルサイン・ホールディングス、GMOReTech、イタンジ、ナーブ、リコー、セイルボート、スペースリー、スマサポ、UPDATA、WealthPark、コスモテクノロジー(順不同)。