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大和ハウス 下期分譲戸建て販売好調 首都圏は二桁増 多摩・八王子エリアけん引

 大和ハウス工業は、分譲住宅事業について、分譲戸建て住宅が20年10月~21年2月末までの累計販売棟数で前年同期比9.8%増、販売土地区画数で同7.5%増となったことを明らかにした。昨年7月以降に急回復し、その後も好調さを継続。一方、分譲マンションについても、下半期からの株価上昇で富裕層やパワーカップルの需要が見込める資産性が高い都市部の物件に加え、首都圏郊外においてもテレワークの普及で間取りの大きさに着目した新たな価値観が見られ、安定した販売となっている。

 回復傾向にある分譲戸建て住宅については、全国一律の回復とはならず、首都圏での回復が大きい。首都圏の累計販売数は26%増、区画数は17%増となっており、特に多摩、八王子エリアがけん引している。集客に関してはネットが中心となっているが、「(顧客の)本気度が高く、決定率が高い」(本間生志住宅事業本部部長)。都市部周辺、元々探していたエリアで郊外需要が顕在化しているとみている。

 適地に対しての土地仕入れは、各社とも在庫が減少し、競合が激化しており、割安な仕入れは困難と判断。今後の土地仕入れは、首都圏を中心とするが、テレワーク需要を見越した新規仕入れはせず、強化エリアの柔軟な見直しで対応する方針だ。

 一方、マンション販売については、昨年9月に竣工し、現在分譲している「プレミスト船橋塚田」(千葉県船橋市、総戸数571戸)がコロナ禍において販売が加速し、「半年以内に完売する」(角田卓也マンション事業本部部長)と期待する。また、平均坪単価400万円の「プレミスト文京千石」(東京都文京区、総戸数58戸、21年12月竣工予定)は、販売初月に完売した。

 大阪も「プレミストタワー靱本町」(大阪市西区、総戸数353戸、23年2月竣工予定)、「プレミスト針中野駅前」(大阪市東住吉区、総戸数229戸、22年3月上旬竣工予定)の反響については、富裕層を中心に評価されている。一方、地方圏のマンションは、中心部や再開発タワーマンション、複合開発物件などの評価が高いという。

 住宅需要の郊外への動きに関しては慎重姿勢となっている。「近畿圏では郊外での購入は慎重」(角田卓也マンション事業本部部長)と地域限定の動きであることや、「今年の市場は堅調だが、年収不安などから、来年は厳しくなるのではないか」(本間生志住宅事業本部部長)と、今後の継続性に関しては、懐疑的な見方を示している。