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改正民法、コロナ対応を解説 適取機構が講演会を配信

 不動産適正取引推進機構は3月1日から、第113回講演会をオンラインで配信している。コロナ禍を踏まえオンデマンド形式となっており、申し込み済みの受講者は同月31日まで自由に視聴できる。

 今回の講演会のテーマは「不動産賃貸借をめぐる最近の情勢~民法改正と新型コロナウイルスの影響~」で、佐藤貴美弁護士が講師を務めている。

 20年4月に施行された民法改正については、まず敷金や賃料減額など不動産賃貸借に関連する改正内容を紹介した。続いて実務上のポイントとして、連帯保証人と極度額に関する規定についての注意点を説明。連帯保証契約における説明の留意点をはじめ、極度額については金額設定の考え方や、口頭の合意があっても書面を作成・明記する必要があることなどを具体的に語った。

 また同じく実務への影響の大きな分野として、物件の一部滅失等による賃料減額について、その時期や程度、適用される範囲などについての考え方を提示。賃貸借契約等更新時の取り扱いについては、法改正前に契約を締結し、改正法施行後に更新した場合に、更新の種別に応じてどちらの民法が適用されるかの解釈を述べた。

 続いて佐藤弁護士は、新型コロナ対策に伴う賃貸借契約の取り扱いについて、賃料の減額や支払い猶予、契約の終了など、主な対応ケースごとに法的な視点からアドバイス。貸主・借主の各当事者に生じる義務および権利のほか、書面による明確化が求められる行為、対応の際の留意点などを語った。

 また入居者が感染した場合についても、対応における法的義務の範囲等を解説。更に、感染発生後の入居者募集時の告知については、義務でなくとも一定の配慮が望ましいとすると共に、「コロナに限らず、近年は疾病や孤独死などに伴う告知については様々な議論や対応がある。そうした社会の動きなども踏まえて、今後も考えてもらうことが必要だろう」と述べた。