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ナスラック 納期遅延防止に注力 中国への追加発注が奏功

 新型コロナウイルスの感染拡大で中国の生産活動が停滞する中、住宅設備・建材の納期遅延など調達問題が深刻化しているが、東建コーポレーションのグループ企業でキッチン・システムバスなどの住宅設備や建材、構造部材を取り扱うメーカーのナスラック(名古屋市中区、左右田善猛社長)は納期遅延防止に向けた対応策を進める。

 同社の薮下史征製造販売部長によると「親会社の東建コーポ向けアパートについては工事遅延や引き渡しの遅れは発生していない」と述べ、「コロナウイルスが報じられた後、東建グループの中国現地法人『上海東販国際貿易有限公司』と連絡を取り、現地のコネクションを利用した現況報告を2月に指示。例年、春節(旧正月)期には、余分に発注しているが今回は、現況を踏まえ追加発注したことが功を奏した」と語る。

 同社では、東日本大震災の津波により自社工場が倒壊、操業停止に追い込まれるなどサプライチェーン寸断の経験を踏まえて、新型コロナ対策に向けていち早く工場と購買部、中国法人が連携、資材確保に向けた情報収集と完工遅延防止へ代替え調達確保に注力した。

 一方、コロナウイルス収束見通しが長引けばこれからの受注に影響する恐れがある。中国の工場も徐々に稼働していくと想定される半面、欧米の爆発的流行や東南アジアの感染拡大で、これらの地域からの部品調達が深刻な状況になりうる可能性が高く、今後予断を許さない。

 これに対して同氏は「新商品も例年5月頃発表しているが、安定した商品供給の確保ができなければ販売時期の見直しも視野に入れなければならない。企業として事業に関連する正確な情報をいち早く現地から取得し、行動していくかが課題」と述べている。