総合

大言小語 充実した時間

 卒寿を超えた親が介護期を迎え、デイサービスやショートステイに送り迎えや小用で出向く機会が多くなった。ショートステイには通い始めて1年くらいが経つ。安心と便利さからつい滞在期間も長くなりがちだ。利用機会が増えるにつれて、施設から帰宅した親の様子がおかしいと感じるようになった。ケアマネジャーに聞いてみると、ショートステイも滞在が長くなると、人によっては認知症の進行に悪影響を及ぼすこともあるのだと聞かされた。

 ▼定時の食事にスタッフが常駐し、規則正しい生活が送れる施設は、当事者はもちろん介護する側にとってもよい環境なのだと思い込んできた。しかしこの1年の介護生活を思い返すと、心当たりもある。施設にいる間の過ごし方だ。食事やレクリエーションのある時間帯は入居者同士やスタッフとのやりとりが少なからずあり活気も感じられた。半面、それ以外の時間帯になると、することがなく、考えることもない時間を過ごしているのだろうかと。

 ▼ある高齢者施設を運営する関係者の指摘も同じだった。基本は食事、入浴、排泄の3大介助だが、それ以外の時間について「やることがない」「寂しい」といった入所者の声が非常に多いといい、健康寿命を延ばすことにもつながるため、いかに充実した時間を過ごせるかを重視しているのだと話す。我が家の介護も「充実した時間」探しから出直したい。