マンション・開発・経営

大言小語 住まいの多様化

 近年、住まいの変革が進んでいる。高齢者向け住宅や学生専用、共稼ぎ世帯向け、他人同士が共同で暮らすシェアハウスなど。核家族が中心だった昔は、「住まい=子育て」だった。世帯の多様化が、住まいの多様化を進めている。

 ▼東京都西部にある高尾山が人気だ。特に今の季節は新緑がまぶしい。国内だけでなく外国人も目立つ。登山ブームに加えてミシュラン三ッ星獲得もこの人気に拍車をかけているようだ。都心から電車で1時間という近さもさることながら、生物の多様性でも有名な山だ。思い思いに育ったような種類も大きさも様々な自然林の中にいると、理屈抜きに心地いい。

 ▼働き方改革の分野でも多様性(ダイバーシティ)が重視されている。年齢や性別、国籍など一人ひとりの個性を尊重し、そこから生まれる新発想を取り入れ企業を発展させていく考え方だ。労働力人口が減少していく中、組織として生き残るには欠かせないと言われている。自然も組織も多様性がなくなると消滅に向かうということか。

 ▼これからは高齢者に限らず単身世帯が増える。一人親世帯も増えるだろう。今こそ、小家族世帯が増えても社会の基盤がゆるがない方策が必要だ。多様だからこそ、互いに助け合うことが出来るとも言える。世帯と住まいの多様化は、減少を続ける日本民族存続の要となる。