政策

大言小語 不便さも魅力に

 ふるさと納税の過熱感から総務省は、還元率を3割程度に抑えるように各自治体に要請した。これまでは5~6割程度の還元率というから、半減程度になりそうだ。

 ▼考えてみれば当初、ふるさと納税は、自分の好きなまちを応援しながら、そのまちからお礼の品をもらえ、税金が控除されるというメリットが注目された。それがいつしか、牛肉やお酒などの特産物を競うことだけに注目が集まり、段々とエスカレートしていった。

 ▼納税者や各自治体が、その質を求め過ぎてしまった状況に、警鐘を鳴らすことが今回の要請の趣旨だ。まちを純粋に応援、活性化させるという目的を忘れさり、豪華な品々で返礼する競争に堕してしまったのだ。

 ▼これは住まい探しでも同じかもしれない。間取りや住設備の充実さばかりを追い求め、新しく、便利なものに目を奪われる。当然、室内の過ごしやすさは重視すべきだが、住まいが立地する身近なまちにも目を向ければ、その魅力を再発見できるだろう。

 ▼河や緑の自然など、まちが持つ魅力は、何もモノに頼らなくても、ゆっくりと探せば何かあるはずだ。空室や空き家が増え続ける中、周辺の街並みの隠れたすばらしさを内見者に伝えることも、空室・空き家対策になるのかもしれない。若者の間で使い捨てカメラが流行しているように〝不便さ〟が魅力になることもある。