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大言小語 即断、即実行を

 築地市場の豊洲への移転問題で揺れ続ける東京都。都民の声も賛否両論があり、落とし所が見えないが、時間を費やす余裕がないのだけは、誰もが認めるところだろう。そんな都政に対して、住宅・不動産に関わる意見も多く寄せられる。1カ月の間に都に寄せられた都民からの提言や要望は1000件を超えている。このうち生活と密接に関わりのある住宅・不動産に関するものが約4分の1を占める。

 ▼空き家の急増については、治安に不安を感じると主張し、問題となる空き家を認定してほしいといった意見が寄せられた。また、何度も応募している都営住宅に入居できず、貯金を切り崩す日々と、先行きの生活不安を訴える高齢者もいる。

 ▼ある不動産業者は、大家が年齢を聞いただけで賃貸を拒否するとして、「高齢者への貸室拒否に胸が痛む」と嘆いている。高齢者に不安のない生活ができる施設を造ってほしいと、懇願にも似た意見を都に寄せている。

 ▼都は、今後10年間の住宅政策の方針を示す住宅マスタープランを新たに策定した。社会の底辺で起こっている様々な難題や課題に真っ向から取り組む姿勢を見せる。しかし、高齢者にとって10年という月日はあまりにも長すぎる。プランはそれとして、慎重な議論も否定はしないが、高齢社会に山積する優先度の高い問題には即断、即決、即実行が必要だ。