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大言小語 都会にはないもので…

 「師走」とはよく言ったものだ。あれよあれよという間に、いつの間にか新年。毎度のことだが、せわしなく動き回る1月も瞬く間に過ぎる。固い決意で誓った1年の抱負を、忙しさにかこつけて忘れることなく今年こそは成し遂げたいものだ。

 ▼遠い故郷があるおかげで、年末年始の過ごし方に苦労したことはない。幼少の記憶からほとんど変わらない町の姿にホッとすると同時に、「本当に東京と同じ時間が過ぎたのだろうか」といつも苦笑いが出てしまう。

 ▼小生は23年前、大学入学で上京した際、「マンションを買う」という言葉が理解できなかった。それまで田舎で暮らしてきた常識では、買う家といえば戸建て住宅。土地が豊富にあるのだから、何も上に広げる必要もない。「マンション? まさかあの一区画を買うのか? 1棟全体のことだろ?」。都会人には計り知れない状況が、地方にはまだまだたくさん残っている。

 ▼地方の活性化は、今後の日本の行方を占う重要課題だ。現地の状況を詳しく知らない中央からの発信だけでは、うまくいかない。人が歩いていない、そしてシャッターだらけの商店街を見ると、何が打開策なのか見当もつかない。言葉以上に「地方創生」は難しいだろう。ただ、食べ物、水、空気は間違いなくうまい。そして何より〝ゆとり〟がある。都会と競ることなく、独自路線を進めばいいはずだ。