資格・実務

大言小語 合格は出発点

 10月第3週の日曜日、今年も宅建試験が全国で一斉に実施された。例年と違っていたのは、今年は宅建業法改正に基づいて、宅建主任者から宅建取引士に名称が変更された第1回の試験だったこと。それも追い風となったのかは知る由もないが、受験の申し込み者数も前年比で大きく伸びた。受験者の多くが、試験が終わり一息ついているところだろうが、本当の勝負は合格後から始まる。

 ▼宅建資格の名称が変わったことは、より多くの人が不動産業に関心を抱いたり、あるいは理解を深めてくれることにつながるだろう。ゆくゆくは、不動産業という仕事を志す若い人たちがますます増えてくれるようになると理想的だ。不動産取引にかかわる宅建士の仕事は、多様化し、複雑化する社会環境と共に、年を追うごとにその責任の度合いを増してきている。士業化は、重くなるばかりの責任に対して、真摯に業務を遂行してきたことが広く社会から評価されたものだ。そして、これからもそれらが続いていくことは明らかだ。

 ▼試験の合格は出発点であって、この先、不動産業に携わる限りは、常に自ら仕事のスキルを高めていく意識を持ち続けていかなければならない。今年の試験では、士業となったことを理由にして、モチベーションの高い受験者も多く含まれていたはずだ。昨年を上回るであろう多くの受験者の〝合格後〟に期待したい。