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大言小語 理想の上司

 ▼野球好きでなくとも、その記録の凄さは何となく分かるだろう。先週、大リーグのイチロー選手が「野球の神様」と言われるベーブ・ルースの安打記録を抜いた。13年8月に、日米通算4000本安打を達成した際は、その快挙よりも凡打に終わった8000回以上の打席を振り返った。「凡打に対して自分なりに常に向き合ってきたことは誇れる」と。40歳を過ぎてなお、若い頃の身体能力を維持し続けるたゆまない努力。日々腰痛に悩む同年代の小生、少々恥ずかしい。

 ▼17日の日曜日、大阪都構想に対する住民投票が行われた。結果の是非についての言及は避けるが、真正面から切り込んだ橋下徹氏。08年の大阪府知事就任は38歳の時だった。45歳の今もなお、〝時代の寵児〟であり続けるにはそれなりの理由がある。

 ▼イチロー選手、橋下氏に共通するのは「確固たる信念」だ。その達成のためには、多くの犠牲も厭わない。通常人にはない強い心に、尊敬の念を抱く人は少なくない。その年の新入社員に聞いた「理想の上司ランキング」で、両氏とも1位になったことがある。

 ▼様々な意味で岐路に立つ日本。〝中核エンジン〟として頑張るべきは「多少の人生経験をしてきた、若くはないが年でもない」小生たちの年代か。まずは身近な人たちからの信頼を得るとしよう。「口ばかりで行動せず、責任を取らない」ような嫌な上司になっていないか、顧みたい。