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大言小語 人を魅了する街

 今年の大型連休は暦の関係で連休が分かれたため、「高・近・短」がキーワードの、「ちょっとゴージャスに国内旅行」がトレンドだったようだ。

 ▼中でも人出で賑わったのが、連休前の4月26日に街開きしたグランフロント大阪。いわゆる大阪・梅田北ヤードの再開発で、この大型連休期間中の来場者数は11日間で367万人に達したという。関西以外からの来場も多く、良いスタートを切った。

 ▼ところが、商業施設の売上高は思ったより伸びず、発表されている期間の総売上げを来場者で割ると、客単価は1人800円だったという。知り合いのタクシー運転手によると「大阪やからね。ただ、混みすぎていて、スイーツ店にも入れなかったらしいわ。周りにもっといける店あるし」。新しい街に冷水を浴びせるわけではないが、「黒船」と呼ばれ、大阪を変えるとまで言われた三越伊勢丹は、初めこそ賑わったが、今は不振に陥っている。上質イメージにこだわり過ぎたのが一因とも言われる。

 ▼一方、通天閣がある新世界。こてこての大阪が感じられ、囲碁将棋クラブが満員となっている「昭和」が残る街。一時、訪れる人が減ったものの、12年度は、通天閣の入場者数が53年ぶりに130万人を超えた。周りの二度付け禁止の串かつ店は食事時でなくても行列が絶えない。画一的な街でない、そこにしかない街こそが人を魅了する。