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大言小語 「考える葦」

 業界団体の新年会で今年必ず話題に上るのが消費税問題だ。10%に上がるのが15年10月。軽減措置がどうなるのかにもよるが、住宅業界にとってかなり厳しい時代がやってくるのではという危機意識だけは持ち続けなければならない。

 ▼将来確実に大きな変化が訪れると分かっているならば、それに向け最善の策を採ることこそ急務である。しかし、人は往々にして「実際にはどうなるか分からないし、目の前の仕事を片づけることも大切」といった思考に陥りやすい。人間は本来「考える葦」のはずだが、現実はあまり自分の頭で考えることはせず、結果、過去の習慣から抜け出せずにいる人が圧倒的に多い。

 ▼現代社会に生活習慣病が多いのもその象徴だ。生活習慣病は住環境や職場環境が大きな要因になっているという。日本建築医学協会理事長の松永修岳氏は論文の中で「住環境や職場環境から影響を受ける様々な環境ストレスが、生活習慣病の大きな原因と考えられる」と述べている。

 ▼逆に言えば住環境を変えることで、惰性的発想から抜け出すことができるかも知れない。住宅業界には、住まいを変革し、現代人を「考える葦」に戻す責務があるのではないか。消費税率は10%が最終ではないだろう。かなり長期に渡る厄介な問題になる可能性が高い。未来を想像する力を蓄え、より本質的に問題を捉えるための格好の題材というべきだろう。