決断できない政治が続く、真のリーダーが不在、公僕たる官僚がいない? 多分当たっていると思うが、それを批判する資格は誰にもない。なぜなら、政治家や官僚の質は、突き詰めれば国民の責任だからだ。それにしても、明確な方針が打ち出せないエネルギー戦略、外交の妙が感じられない領土紛争、復興のスピードが上がらないままの政権交代モードなど、国民は落胆続きだ。
▼批判を閉ざし絶望した沈黙の民は、どこへ向かうのか。一個人であれば、極限的な自己否定が立ち直りのきっかけをもたらすこともある。しかし、政治への不満を一国の民としてどう受け止め、対処すべきか。そのような教育を日本人は受けたことがあるのだろうか。
▼一昨年から昨年にかけて、住宅・不動産業界の変革を呼び掛ける「ハ会」運動が起こった。古い慣習が渦巻く中古住宅市場などをテーマに議論の輪が広がった。きっかけはツイッターの呼び掛けだった。それが今急速な展開を見せている不動産流通市場活性化策につながったと言えなくもない。
▼日本を良くするきっかけは、住宅問題を議論するところから生まれるのではないか。24時間換気に象徴されるシックハウス、化学物質を使わない国産無垢材の活用促進、住み手が自ら手を入れて長く住み継ぐ文化の育成など、政府は今こそ新たな視点で住宅を内需の柱に引き上げる戦略を打ち出すべきである。