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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(7月15日~7月21日)

Pick Up!

  • 積水ハが体験施設刷新で〝住育〟提供目指す
  • アーバネットと三井不投資顧問が物件優先契約の協定、「出口」安定化図る
  • 三菱地所とフジタが開発、那覇で「ネストホテル」最上位の新ブランド第1号施設開業

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。

 初めに、集計期間内の紙面掲載記事としては唯一のランクインとなった、10位の「積水ハウス 体験型研究施設をリニューアル 小学校高学年に照準 感性とひも付け〝住育〟提供(2025/7/15号)」をご紹介します。積水ハが、京都府木津川市の体験型研究施設を刷新し、新たに「ジュノパーク」として開業するというニュースです。前身の施設は90年開所で、住まいに関する情報発信や研修等を長年行ってきましたが、今回の刷新では特に子供たちへの体験提供に焦点を当て、〝住育〟を重視した施設として運営していきます。コンセプトや内観、施設内設備等を見ても、同社の高い注力具合がうかがえます。直接的に大きな収益を見込める類の施設ではありませんが、次世代を担う子供たちの住宅に対する興味・関心やリテラシーの向上を図ると共に、同社の潜在的な「ファン」獲得、住まい領域に関わる研究活動の促進など、中長期的な視点で同社の持続的成長を支える事業と考えられます。住宅業界のリーディングカンパニーならではの取り組みであり、社会的な意義も大きな活動として、読者の注目を集めたのではないでしょうか。

 次は、8位の「アーバネットコーポレーション 三井不動産投資顧問と基本協定締結(2025/7/16配信)」です。アーバネットが開発する投資用マンション「アジールコート」シリーズの物件を、三井不投資顧問の手掛けるファンドに、優先的・継続的に供給していくという内容の基本協定です。同シリーズはデザイン性や設備・内装、居住性能の工夫による高付加価値化などにより、投資用不動産物件市場において一定の評価を受けている様子。併せて、大手不動産AM事業者との継続的な契約が見込めれば、開発事業の更なる安定化と積極的な成長戦略にもつながります。当然、こうした協定は既存物件の実績と評価があってこそ。目先の収益性だけでなく、品質やエンドユーザーの満足度も重視した不動産開発を継続することで信頼を築き、将来的な発展につなげるという事業の好循環を示した事例の一つと言えるかもしれません。なお、パイプラインサポート(契約、協定等)とは、国内の不動産投資分野では一般的に、投資法人がスポンサーから優先的に物件を取得できる契約等を意味する用語です。

 最後は、5位の「三菱地所とフジタが開発 那覇でネストホテル最上位ブランド開業(2025/7/16配信)」をピックアップしました。沖縄県那覇市で、ネストホテルジャパンの展開する「Nest hotel」シリーズ最上位かつ新ブランドの第1号「THE NEST那覇」が開業しました。開発は三菱地所とフジタによる特定目的会社(TMK)が担い、ネストホテルジャパンが施設を賃借・運営する形です。21年に閉館した「ネストホテル」跡地における開発で、観光とビジネスの双方に対応する立地を生かして幅広いニーズに対応する良質な宿泊施設を目指しました。従前の同シリーズホテルを建て替えて最上位ブランドを投入するという一連の流れから見ても、背景には、インバウンドを軸とした高級指向の観光・ビジネス需要への対応を重視した戦略が想定されます。三菱地所は自社グループでも長年のホテル開発・運営の実績があり、フジタは建設会社としての設計・施工事業ノウハウだけでなく不動産開発の経験も有する企業。国内でも有数の観光エリア、沖縄・那覇での新規宿泊施設開発とあって、参画各社による事業への力の入れ具合と共に、読者からの関心も高かったものと考えられます。

 

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