北澤商事(東京都足立区)の北澤艶子会長は5月15日、全米アジア不動産協会(AREAA、アレン・チャン会長)の「グローバル・リアルエステート・アライアンス~会長功労賞2025」を受賞した。同協会は不動産業界の〝万博〟と言われる「パスポート・グローバル・サミット」を毎年各国で開催。今年は初めての東京大会(5月13~15日)が千代田区紀尾井町のホテルニューオータニで開かれ、海外から約100人、日本からは約50人の業界リーダーらと専門家が集まり交流を図った。
AREAAは北米最大のアジア系アメリカ人を対象とした不動産団体で米国とカナダに45の支部、1万9000人に及ぶ会員を有している。
「不動産女性塾」の塾長でもある北澤会長は長年、不動産業界における女性の躍進に尽力してきたことなどが評価されての受賞となった。会長功労賞にはこの日、世界不動産連盟世界会長のラモン・リエラ・トローバ氏も選ばれ、二人の同時受賞となった。
サミット初日には物件見学会として渋谷再開発エリア、麻布台ヒルズ、二子玉川再開発エリアなどの視察が行われた。2日目からは「不動産の未来と地域課題」「日本のリゾートの現在と未来」「関税と米国CREの予期せぬ結果」など多くのテーマによるセッションが開かれ、最終日の午後からは「女性と不動産~世界で活躍する女性たちのストーリー」と題したパネルディスカッションが開かれた。登壇者は北澤氏のほか、米国で活躍する不動産エージェントの小谷真千子氏とリジュネビルド社長で宅建マイスター・フェロー全国第1号の妹尾和江氏の3氏。
「女性と不動産」
モデレーター役を務めた妹尾氏はまず、「不動産業が女性にとっていい職業」と言われていることについて北澤氏に質問した。北澤氏は「住まいをご夫婦で探しにこられても、ほとんどの男性が『君が気に入ればいいよ』といって主導権を女性に譲りますね。つまり住まいの主役は女性ですから、その住まいを紹介する不動産の仕事は女性にとても向いています」と語った。
さらに、「女性が不動産業を継続していくことの難しさ」についてはこうも述べた。「結婚、出産、子育てと女性が仕事を続けていくことの難しさはありますね。でも私は独身時代に創業し、結婚して子供ができましたが、仕事を休んだのは出産前の1カ月だけで、出産後はすぐに復帰しました。本人に〝継続していくのだ〟という強い覚悟があれば、周りのお客様方から必要とされる存在になっていくと思います」
このテーマについて小谷氏は「私はナンバーワンのエージェントではなく、お客さまにとっての〝オンリーワン〟の存在であることを目指してきました。CPMやCCIMといった資格を取得して実力を付けたことが大きな自信となっています」と語り、妹尾氏は「最初に信頼を獲得することが大事で、それができないといくら頑張っても成果は出ない」と指摘した。
最後に、女性の躍進が不動産業界の社会的イメージをアップさせるかというテーマについて、北澤氏は「私はそれを確信しています。女性にはやさしさと凛(りん)とした美しさがありますから。いくつになっても不動産の仕事ができるということを私が実践することで、若い世代に伝えていければ」と強い思いを示した。
小谷氏は「お客さまを家族と思い、人の心に寄り添えるきめ細かさが女性にはあります。そうしたメリットを前面に打ち出せば、女性がなりたい職業の上位に不動産業がランクインされます」と語った。
妹尾氏は「私が不動産業に携わった当初は、女性の割合が1割にも満たなかった。現在は4割ほどに増えています。女性の力を存分に発揮し、不動産業界のイメージアップを図りましょう」と決意を示してディスカッションを終えた。