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酒場遺産 ▶40 赤羽 まるよし 日の高いうちから老舗酒場で

 最近、赤羽は酒場の聖地だ。朝から暖簾を掲げる酒場が多く、「朝酒・昼ベロ(昼からベロベロの意)」の街として紹介されることも多い。東口北寄りのOK横丁・一番街辺りは特に賑わい古い酒場や新しい酒場が立ち並ぶ。赤羽を代表する大衆酒場「まるよし」は東口駅前広場の正面に立つ。創業1952(昭和27)年から72年続く老舗酒場だが、5年ほど前に内装などをリニューアルして明るい感じになった。燻し銀酒場好きの筆者には少し淋しくもあるが、それ以上に明るく気軽なこの店は、地元の多くの人に愛されている様子が分かり、カウンターに座っているだけで温かい気持ちになる。間口は大きくないが、中央にどんと構える大きなコの字型カウンターを囲み、早い開店時間(15時から、土曜は14時)から満席となる。

 長手の壁には幅4メートルはあろう横長のメニューが掲げられている。名物はきゃべ玉で、客の多くが「ビールとキャベ玉」と注文する。キャベツと卵をまぶしたシンプルな炒め物だが、これが美味い(小250円、普通390円)。飲物は生ビール、瓶ビール(サッポロ黒ラベル・ラガー大620円)、日本酒は福徳長(燗・冷)、八海山・立山・一ノ蔵・浦霞・菊水・久保田・秩父錦などで一合400~600円と赤羽価格。そのほか一通りそろえる。食も充実。もつ焼きのレバー・タン・ハツ・かしらなどは人気で、多くは一串100円、高くても150円と安い。そして最高に美味い。その他の小皿料理は、170円・180円・200円・250円・300円…と値段ごとに分けられている。もつ焼きとキャベ玉の他、ポテトサラダ、さば竜田揚げ、鰺フライ、にんにく天婦羅、煮込み、シメ鯖、まぐろブツを頼むことが多い。どれも美味く良心的だ。明るい下町の老舗酒場、日の高いうちにカウンターに座ると幸せが訪れる。 (似内志朗)