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大言小語 利害関係者は誰?

 大事と思っているものは人ぞれぞれだが、年々夏が暑くなり、風水害の被害も激しくなると地球温暖化に関心が高まるのは当然のこと。実際に被害に合う人が増えればなおさらだ。こうした中で、緑への関心もまた高まっている。

 ▼最近の開発では、いかに緑が多いかを競うようになった。住まいやオフィスへの入居を訴求する際には緑に囲まれることで、生活の質向上や仕事の効率化につながることをアピールしている。緑が仕事の効率化にどう影響するのか、科学的な検証を行っている事例を持ち出すまでもなく、緑被率という指標で定量化して示すこともある。

 ▼緑への関心が高まることの裏返しとして、緑を巡るトラブルが増えるということを意味する。再開発の場合、従前の緑をどこまで残すのか、周辺住民の関心事となっている。極端なケースでは緑に手を付けること自体を否定する言動も飛び交う。

 ▼神宮外苑再開発では、象徴的ないちょう並木の一部伐採に関して耳目を集めた。何年か前にも取り上げられていた。法的な説明の問題はなかったが、最近になって著名人が保全を訴えるなど利害関係者の範囲が開発当事者の想定外に広がり、コミュニケーションを失敗した点は否めない。

 ▼最近は、利害関係者が誰なのか、分かりづらいことが多くなった。そうしたときは、法律を当てにしすぎず視野を広く持つことが重要になる。