不動産競売2023年上半期 市場収縮が止まらない 倒産増加も不良債権化に至らず 過去に類を見ない低水準へ
住宅新報 2023年8月15日 号 6面
不動産競売市場の収縮が止まらない。新型コロナウイルス感染下では政府による実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が企業の資金繰りを支えてきたが、その融資の元本返済が徐々に本格化し、倒産が増加するにつれて競売物件が増加に転じると思いきや、競売件数はなお減少が続く想定外の動きを見せている。品不足感が募って競売市場から一時撤退の声も聞かれ、参入事業者の顔ぶれも固定化されつつある。2023年上期(1~6月)の東京地裁本庁の開札状況は、不動産景気の強さと消費者の購買意欲の二極化を映し出している。(中野淳)
企業倒産は足元で急増している。東京商工リサーチが8月8日に発表した7月の企業倒産件数は758件(前年同月比53.4%増)となり、16カ月連続で前年同月を上回った。帝国データバンクによれば、「物価高倒産」は7月までに累計442件に上り、7月単月での物価高倒産は67件と前年から倍増した。価格転嫁を取引先から拒絶されるなど値上げできずに経営破綻を余儀なくされた例は少なくとも23件判明したという。ロシア・ウクライナ情勢を受けて燃料や原材料などの価格上昇分の値上げをできずに収益を維持できない企業が目立つ。製造業や運輸・通信業の業種が多い。ゼロゼロ・ショックとインフレ、人件費上昇を受けて倒産が増加しているが、差し押さえられる不動産が増えて競売物件が増加に向かう方向感にはなっていない。
来年夏まで物件増えず
東京地裁本庁のデータでは、23年上期の競売対象件数は257件と前年同期との比較で約3割減った。総入札数は3033本とこちらは約4割も減少している。














