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大言小語 問われる〝質〟

 日本賃貸住宅管理協会(日管協)の今年度重点事業の一つに「管理報酬の研究」が盛り込まれた。賃貸住宅市場ではこれまで、仲介会社が入居者をあっせんした後に、その物件の管理業務も付随的に行ってきたケースが少なくない。しかし、21年に全面施行された賃貸住宅管理業法で管理業務が明確化された。管理報酬の研究は、管理業を仲介業から完全に独立した業としていくための布石ともなりそうだ。

 ▼報酬はその業務に対する対価であり、提供する管理業務のレベルによって受け取る報酬額が違って当然だ。日管協は管理業務として87項目を掲げ、それを必須(管理業法義務)14、標準56、推奨17項目の3つのレベルに分類している。今後は実践している項目の数とそのレベルに応じて受領する報酬のあり方についての研究が行われるものと推測される。

 ▼仲介会社が受け取る手数料には国土交通大臣による上限規定があるが、管理報酬は自由だ。一般的には家賃の5%が目安となっているようだが、明確な根拠があるわけではない。そもそも家賃に連動させることが適当かどうかの議論も必要かもしれない。家賃の多寡によってやるべき業務が違ってくるとも思えないからだ。

 ▼家主の立場になれば、収益性に応じた報酬を払うのが合理的ではないか。つまり、管理報酬の研究は「管理の質」の研究でもある。管理業務に限らず、今は全ての仕事に〝質〟が問われる。