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戸建て賃貸ファンド年内1200戸規模へ スマートホーム化に照準 ケネディクス 未充足市場で先行者利益を狙う

 不動産投資で戸建て住宅をターゲットにする動きが本格化しそうだ。不動産ファンド運用のケネディクス(東京都千代田区、宮島大祐社長)は、総額2.5兆円を超える様々な資産を運用しているが、戸建て賃貸ファンド事業に本腰を入れる。このほど215戸

を追加取得し、運用資産は486戸(約199億円)となった。すべて新築物件だ。首都圏(1都3県)に照準を当てて年内に累計投資物件を1200戸まで拡大する。運用資産規模は取得価格ベースで500億円を見込む。23年以降も年間400億~500億円規模で投資する予定だ。中長期的に2000億円程度の資産規模を目指している。

 新型コロナウイルス禍を受けて郊外での戸建て賃貸ニーズを好機と捉える。借家世帯を対象に同社が4000世帯余りを調査したところ77%が「賃貸戸建てに居住してもよい」と回答していることで賃貸戸建て市場が未成熟なのは需要の問題ではなく、供給サイドの問題だとする。潜在的な需要は大きいとみて、その未充足分を埋めるために昨年8月からホームIoTを導入した新築戸建て「スマートハウス対応の次世代レントハウス『Kolet(コレット)』」の運用を開始した。

 その第2弾として、次世代型スマートミラーの開発を手掛けるミラーフィット(東京都渋谷区)の「ミラーフィット」を実装したコレットを投入する。8月23日に都内で現地発表会を開いた。ミラーフィットは専用のミラーデバイスとアプリを使ってフィットネス向けの様々なコンテンツを映し出し、自宅でプロが監修した本格的なトレーニングプログラムを楽しめる。普段は姿見として利用できる。

 コレットのスタート時から全戸に導入しているスマートホームサービス「スペース・コア」では、遠隔操作が可能な電気錠や宅配ボックス、IoT化された住宅設備やスマート家電で生活の利便性を向上させる。スペース・コアを提供するアクセルラボ(東京都渋谷区)の宇田川大輔取締役・COOは、「日本のスマートホーム市場は26年までに100億ドルを超えると予測されている。米国では既にスマートホームの普及率は40%になっている」と話す。

 ケネディクスは、コロナ禍でのリモートワークの浸透と家に広さを求めるニーズを重視する流れからコレットが誕生したと説明する。戸建て住宅を取得してファンド化するだけでなく質の高い戸建て賃貸の供給により住まい探しの選択肢を広げる。1都3県で2~3階建てでリビングダイニング以外に3部屋を完備する間取りで展開する。スマート化で導入する個々のデバイスを一つの操作で制御できるようにしたり、住宅設備機器などに不具合が生じた場合に管理会社とスムーズに対応できるようチャット機能を備えるなど入居者の満足度を高めて高い稼働率を維持する。

 取得済み物件のリーシング状況を見ると、世帯年収は600万~1600万円と幅広い。30代と40代のファミリーが主体となり、世帯人数は2~4人が大半を占めている。入居の理由は転勤、現居住が手狭なため、職場環境の変化の3つで約7割を占める。

 木造建築と実質再生エネルギー100%によりサステナブルな不動産として戸建て賃貸ファンド事業を拡充する。