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大言小語 帰省ラッシュ

 夏休みの真っ最中。各地の花火大会や夏祭りは驚くほどの人出となっている。3年ぶりにコロナによる外出自粛・規制が外れた夏となった反動だろうか、テレビのニュースに映る人々の顔には解放感がうかがえる。

 ▼毎年のことだが、お盆の帰省ラッシュを覚悟してでも地方に帰る人が多いのも、都会に暮らす圧迫感からひとときでも解放されたいという衝動の現われだろう。帰省した子供たちを迎える親世代は、今年は地元のイベントや祭りが復活したことを喜び、子供や孫に郷土料理を振る舞う。

 ▼日本はもともと地方色の豊かな国だった。それが今は日本の人口の約3割が首都圏で暮らし、5割強が三大都市圏で暮らしている。東京への人口集中が加速したのは高度経済成長期からだが、東京に出てきた親世代から生まれた子供同士が結婚して生まれたその子供は「自分も親も東京生まれ、祖父母も東京在住」となる。東京への一極集中が続く限り、地方に縁のない人たちが増え続ける。なおさら地方が衰退していかないか心配だ。帰省ラッシュもいずれはなくなるだろう。

 ▼イベントや行楽地への人出が増えることで、経済効果への期待も高まっている。一方で、この後一段とコロナが流行するのではないかとの心配もある。感染流行を抑え込みながら、かつ経済を盛り上げるという難しい〝二刀流〟のかじ取りが迫られている。