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旭化成Gの社内ベンチャーが展開 入居者同士が貸し借り、お裾分け、子育て情報など アプリがコミュニティを醸成

 旭化成グループの社内ベンチャーとして今年4月に設立したコネプラが展開しているマンション入居者間限定の情報交換アプリ「GOKINJO(ゴキンジョ)」を導入している東京都板橋区の分譲マンション「アトラス加賀」(総戸数227戸)で7月23日に入居者交流イベントを開催。無農薬野菜の共同購入や子供を対象としたリサイクル素材を使った傘づくりのワークショップを実施した。

 「ゴキンジョ」は、妊娠中・育児中の女性向けに〝ママ友づくり〟のサポートや〝保活〟に役立つ情報を提供するアプリ「フィーカ」を開発したクレヨン(東京都練馬区、森屋大輔社長)と旭化成ホームズグループが新会社設立に先立ち、共同開発した。(1)情報交換、(2)お譲り、(3)お助けの3つの主要機能を通じ、入居者のコミュニティを醸成するプラットフォームで、昨年9月に同グループの旭化成不動産レジデンスが20年7月に竣工した同物件に導入、実証実験として運用を開始した。

シェアリングに活用資産守る意識共有も 同物件での現在の利用率は居住者の約8割、利用者の満足度は83.7%に上っている。エリア情報のほか、子育て用品や大工道具といった物の貸し借りや譲渡、飼っている昆虫のペアマッチング、もらい物のお裾分けといった、様々なやり取りを通じ、入居者に限定していることで安心感が生まれるほか、利用を重ねるうちに入居者同士が「〝一緒に資産を守ろう〟という共通の意識が醸成されているようだ」(コネプラ・中村磨樹央社長)といった意識面の変化も見られるという。

 同物件の亀倉新之介理事長は「大量に届いたミカンのお裾分けといったことにも使えて、助かっている。イベントもアプリでの準備やその後のやりとりを通じて、当日参加できない人も、楽しめる。アプリとイベントの2本立てで、どちらも利用しやすかった。今後は、駐車場など施設の利用申請もアプリ上でできるようになってほしい」と述べた。

問い合わせ230件他社物件への導入も 新会社設立を公表した5月以降、問い合わせ件数は230件に上った。来年2月に東京都世田谷区に竣工予定の「アトラスシティ世田谷船橋」(総戸数228戸)へ導入するほか、東京都国分寺市や大阪では他社の既存開発物件から有償トライアルの引き合いがあり、大阪では今年7月に運用を開始した。他社施工のマンションでも今年度で10件、2、3年後には年間30件の導入を目指すほか、今後は、マンション管理組合にとどまらず、戸建て分譲地などのニーズも念頭に、自治会などにも対応できるよう、展開していく方針だ。