政策

国交省「国土形成計画」策定へ重点整理 地域生活圏、CNなど8項目 目指すべき国土像、議論の深掘りを

 国土交通省は新たな「国土形成計画」策定の中間とりまとめに向け、「デジタルを活用した地域生活圏の実現」「関係人口の拡大・深化」「カーボンニュートラル(CN)」など8項目を深掘りすべき重要テーマとして提示。これは5月16日に開かれた国土審議会第10回計画部会で示されたもの。委員からは重要テーマに通底する「達成すべき国土像」をいかに明確に示せるかという課題が指摘された。

 同審議会では、事務局から政府が掲げる「デジタル田園都市国家構想基本方針(骨子案)」について説明が行われた。デジタル実装を通じて地方活性化・地方からのボトムアップの成長につなげる考え方や、国および地方がとるべき役割を示した上で、5月下旬に同方針案が閣議決定される見通しであるとした。

 これを受け、「国土形成計画」の中間とりまとめに向けた要点として、事務局では上表の通り、8項目を整理した。 

 例えば、(1)については、各地域が生活者目線、分野横断、関係者の協働、デジタル発想をセットにした課題解決の仕組みを将来にわたって持続していく「地域生活圏」の実現を目指す。国は強力な支援を図ると共に、迅速かつ柔軟な意思決定を推進していくローカルマネジメント法人の仕組みも検討するとした。

 また、CNに伴う産業転換は巨大災害対応や東京一極集中是正の観点からも産業立地やサプライチェーンを見直す好機と捉え、CNと地域・国土の同時解決を進めるためDXの活用を進める考えを示した。

政策評価の仕組みも

 委員からは、デジタル活用の重要性を認識した上で、デジタルでは解消しきれないリアルな国土や地域の課題を示す重要性が指摘。更に、ツールであるデジタルを活用して整備できる全国ベースの取り組みと地域独自で推進すべきコンテンツやマネジメントの整理が必要との意見も示された。西山圭太委員(東京大学未来ビジョン研究センター客員教授)は、「デジタル化に伴う社会活動(ソフト面)のあり方の変化がインフラ(ハード面)のあり方を変えていく国土計画」と述べ、従来と真逆のアプローチである点を強調。検討を重ねてきた「地域生活圏」についても「分野の縦割りに横串を刺す横断的手法でサービス供給体制を変化させるもの。政策が評価されるための要素も示しておくべき」と指摘した。

 このほか、複数の委員から「女性活躍」において地方での持続可能性を示す視点の重要性や、直近の電力需給ひっ迫などを受け、「エネルギー需給や食糧需給は注視すべき課題として盛り込むべき」との意見が出された。