賃貸・管理

セキュリタイズ 〝デジタル証券〟で流動性向上  不特法の小口化商品に対応

 米国本社の日本法人セキュリタイズジャパン(東京都中央区)は、提供する『STO不動産クラウドファンディングプラットフォーム』の訴求を強めている。〝デジタル証券〟の「ST」を活用して投資家を募り資金調達できる「STO」(セキュリティ・トークン・オファリング)機能を搭載し、不動産特定共同事業法に基づく事業(以下、不特法事業)ではこれまで難しかった出資持分の〝流動性〟が高まる。顧客との新たな接点づくりもできるとして、注目が集まっている。

 SaaS型で提供している。不特法事業者が独自にシステムを構築する必要がなく、短期間に、またコストを抑えて導入できる。

 投資家の募集ページの作成から、申込受付、登録情報、入金状況の管理、契約書の発行などができ、電子的に本人確認できる「eKYC」やマイナンバー収集などをサービス連携できる。

 「ファンド運用の一連のプロセスをオンライン手続きで〝デジタル化〟できる。企業ロゴやブランドイメージに合わせたカスタマイズにも対応している」(同社テックコンサルタントの大久保潤氏)。パートナー企業のLIFULL Investment(東京都千代田区)を通じて許可申請などの支援も提供する。

 特徴は、不特法事業で小口化させた商品の出資持分を、ブロックチェーン(分散型台帳技術)上で売買の可能な〝デジタル証券〟として電子的に処理して、容易に取引できるようにする点にある。これで〝流動性〟を高められる。不特法事業者にとって、募集する投資家層を拡大できる。一方の投資家は投資商品の選択肢の幅が広がる。LIFULLの決済DⅴPプラットフォームを活用すれば、投資家同士がオンライン上で相対取引できる(イメージ図)。

 「従来は運用が完了するまで、手続きの煩雑さから流動性が低く、出資持分の売買などが難しかった。STO機能でその流動性を高められる。期中でも投資家を入れ替えながら、不動産活用の本来の姿である長期的な、また大規模な案件でも運用できるようになる」(同社カントリーヘッド、ジャパンの小林英至氏)。