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オーナーの世代交代に備える 「家族信託の相談窓口」 不動産会社82社が会員に L&F

 L&F(千葉市、森久純社長)が昨春からスタートしたサービス「家族信託の相談窓口」が順調だ。これは不動産会社(主に管理会社)が顧客に対して家族信託を活用した資産管理を提案できるようサポートする仕組み。現在の会員数は82社に上り、ほぼ全都道府県に会員を置く体制となった。森社長は、会員数が伸びた背景として、「アパートオーナーの高齢化に伴う世代交代が増える中、管理戸数を減らさないためにも後継者(オーナーの子供)とのつながりを早い段階から構築しておきたい。そのツールの1つとして家族信託に関心を持つ管理会社が増えている」と話す。

 管理受託をしているアパートの所有者が相続などで子供世代に代わると、それを機に管理が他社へと流れてしまうケースが多いという。それまでに顔を合わせていなければ子供世代はしがらみもなく、自分の情報や人脈などを使って新たな管理会社に任せることがあるからだ。一度に数十、数百戸の管理戸数を失う可能性もあり、管理会社にとって大きな課題となっている。

 家族信託とは、認知症などで判断能力が低下し、自身(委託者)が財産管理や資産承継の意思決定ができなくなる場合に備えて、子供(受託者)などにその財産の管理や運用、処分などを託す仕組みだ。高齢化が進む中、認知症になった場合の財産凍結を回避する手段として関心が高まっている。「家族信託の窓口」では、不動産(管理)会社が顧客からヒアリングした内容を専用システムに入力すると、その内容に応じてL&Fが登録している家族信託に精通した専門家を紹介する。

 森社長によると、「管理会社にとっても、オーナーの判断能力が低下すると、管理物件の賃貸借契約締結や修繕工事・リフォーム提案、売買など様々な場面で問題が起こる可能性がある。現オーナーが元気なうちに、家族信託で子供に財産管理を任せておけば、管理会社はその子供と取引できるので安心。認知症対策だけでなく、早い段階から子供世代とつながりを持つことは管理会社にとって重要」と話す。