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インタビュー「eKYC」 TRUSTDOCK 代表取締役CEO 千葉孝浩氏  デジタル身分証の普及へ

 確認する側と、名乗る側の双方の手間や負担をなくす「本人確認」の手続きを支援したい――。TRUSTDOCK(東京都千代田区)は、最新テクノロジー「eKYC」を活用し、本人確認業務を容易にしつつ、大切な個人情報を守るデジタル化サービスを提供している。代表取締役CEOの千葉孝浩氏に、提供の思いなどを聞いた。(聞き手=坂元浩二)

 

 

 ――デジタルで確認。

 「KYC(顧客の本人確認)をデジタル化する〝eKYC〟サービスを提供している。空きスペースを複数人で活用するシェアリングサービスや、厳格な審査を要する金融機関、不動産投資クラウドファンディング事業者など、各社のシステムに組む込む形で導入されて急速に普及している」

 ――不動産業務でも。

 「犯罪収益移転防止法(犯収法)などの法的な義務の側面だけでなく、デジタル化で利便性が向上するとして、実利の要請からも導入が広がっている。本人確認は重要な業務ながらも、手間になりがち。当社がシステムを通じて手続きを代行する形となる。導入企業は、より生産的な業務に集中できる」

 ――手続きを代行する。

 「手続きの迅速な対応が可能になる。スマートフォンやパソコン、タブレット端末を用いて負担なく、犯収法などの規定に則って、複数の様々な手続きの選択肢を当社は揃えている。個々の希望や事情に合わせて、従来の転送不要郵便などの郵送業務のサービスについても対応している」

 ――複数の選択肢がある。

 「携帯電話や銀行口座の契約者情報を基にした本人確認もできるようにしている。例えば、年齢だけを伝えればよい場合でも、結局は、住所までも分かってしまう免許証などを提示しているのが現状だと思う。不要な部分を見ず、見られずに済み、大切な個人情報を守る運用ができる」

 ――個人情報を守る。

 「本人確認業務は〝確認する側〟の権利や義務ではあるが、本人性を証明する〝名乗る側〟が個人情報を自身で管理する側面もある。双方に対応するサービスが当社の強みにある。身分証明書を常に、また複数持つ手間がないように〝デジタル身分証〟が活用される世界観を描いている」

 ――デジタル身分証。

 「デジタル化は情報の共有を容易にするが、プライバシーを自身でコントロール・保護できねばならない。当社が21年に設置したアドバイザリーボード(諮問機関)の提言からも、デリケートな個人情報を扱うeKYC事業者は一段上の高い意識が大切。当社は単に、デジタルツールの提供企業ではない。一層の信頼を得て〝安心〟を提供するサービスに成長させたい」