賃貸・管理 売買仲介

TAKUTO 太田卓利社長 営業利益重視型に転換 究極のストックビジネスへ

 関西を地盤とする賃貸管理のTAKUTO(タクト、大阪市中央区。太田卓利社長)は19年に管理戸数3万戸を達成するなど、98年の創業以来、着実に業容を拡大させる一方、21年3月には両輪だった賃貸仲介部門を売却。経営資源を賃貸管理に集中し、25周年に当たる23年10月期内に「究極のストックビジネス」としての管理会社へ脱皮を目指す。太田社長はそのためのタクトを振る。

 「直近2年は事業の選択と集中を目指し、組織の再編・改革に取り組んできた。賃貸仲介『宅都』を株式譲渡(大東建託グループのハウスコムが取得)し、それまでの3事業体制(宅都ホールディングス、宅都プロパティ、TAKUTO INVESTMENT)から、(1)管理事業、(2)開発・不動産再生・ホテル―の2事業体制へスリム化した」と、売り上げ至上主義的な拡大路線から経営の質向上を目指す営業利益重視型へ転換する。

 同時に中核の「宅都プロパティを『TAKUTO』に社名変更、コーポレートカラー・ロゴマークも変更し、パーパス(存在意義)『私たちは常に進化し、街に新しい価値を与え、そこに暮らす人たちに、たのしいくらしをとどける。』も制定」した。CI・ブランディングを再構築し「新生TAKUTO」としてリスタート。「仲介会社向け申し込みシステムや入居者・オーナー向けアプリ、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入・運用などIT化で業務の効率化と生産性・サービス向上DX(デジタルトランスフォーメーション)も軌道に乗ってきた」「管理受託・リーシング事業の直轄チームを編成、社員個々のスキルアップの重要性を共有した上で、(1)仲介会社の信頼アップに向けたリーシング強化による空室対策、(2)オーナー資産の詳細を周知しその周辺地域まで愛着を持って業務を行うための従業員の現場力向上、(3)オーナーと信頼関係を深める接点強化―の3つの取り組みを実践。従来業務の枠にとらわれないサービス提供で、オーナーに支持され頼られる管理会社へ」変貌させる計画でいる。

 「コロナ禍で、『悪い年は悲観する年ではない。考え方を変えるチャンス』という松下幸之助氏の言葉を思い出し『コロナ禍というピンチをチャンスに』変えようと前向きに捉える機会『心の改革』を得た」。賃貸仲介部門を手放すことで「利益相反(オーナーと入居者)していた部分がなくなり、賃貸仲介でライバル関係にあった他社ともパートナーシップを結ぶことができる。オーナーメリット最大化へ資源を集中し、究極のストックビジネスとしての管理業を目指す準備が整った。利益最大化には多少時間が掛かるだろうが『心の改革』に基づき、悲観的に準備したうえで、楽観的に立ち向かえば必ず成功する」と自信を示す。

 「オーナーの期待は満室運営に尽きる。そのために仲介会社・部屋探し中の顧客・入居者それぞれから支持される企業にならなければ」とし、(1)社員間コミュニケーションを強化する「現場第一優先」、(2)待遇向上を含む財務体質強化、(3)オーナー満足へのリアルコミュニケーションの強化、(4)リーシングの強化、(5)25期に4000戸獲得を目指す管理物件受託強化、(6)地域社会への貢献―の『社長宣言』を行い、その実現へ向け5委員会を発足。従業員・オーナー・入居者・仲介会社・地域の5ステークホルダーに利益還元ができる『五方良し』を目指す。

 人的資源の充実も進める。社員には「先を見通し自ら考え行動できる『発火型感動人間』になってもらいたい。日々を漠然と過ごさず、(1)新聞と本を毎日読む、(2)数字に強くなる、(3)資格を取り不動産のスペシャリストになるため勤勉となる、(4)メンターを3人持つための謙虚な日常行動、(5)人間力を高める努力、(6)健康な体づくりのための運動、(7)のめり込めるくらいの趣味を持つために好きなことを見つける、(8)周りの人々を大切にする行動―の8つを習慣化してもらいたい」。それに努めれば「変化を恐れず『自分事』と捉え自己成長欲を持って毎日を過ごせ、自身の変化を感じられる時が必ずやって来る」。『五方良し』へ、繰り出すタクトの指示は鮮明だ。