マンション・開発・経営

大手デベ上場5社の22年3月期上期 堅調な業績続く コロナ見据え、通期見通し慎重

 3月期決算の大手ディベロッパー上場5社(三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングス)の上半期業績が出そろった。期中のほとんどが緊急事態宣言下であったが、業績は堅調だった。物件売却やオフィス賃貸収入、好調なマンション販売が業績を支える構造に変化はない。下期も上期と同様に堅調な業績が続くと見ているが、今後の新型コロナの感染拡大が不透明なため、「通期予想を上方修正するほどではない」(住友不動産)など各社とも慎重な見通しを示している。

 大手5社のうち、4社が増収増益。増収増益だった4社は、新型コロナで業績が悪化した前年同期と比較して二桁以上の増加となった、三井不動産は売上高、純利益が過去最高を更新。一方、マンション販売の期中平準化を図った関係で減収となった住友不動産は増益となり、営業利益が過去2番目、経常利益が過去最高の水準だった。

 事業別の業績を見ると、住宅事業はマンション市況の好調さを受け、各社とも予定に対して高い契約率となっている。4社が9割を超え、最も低い東急不動産HDも89%とほぼ9割となっている。

 オフィスの空室率は、上昇かほぼ横ばい。オフィス移転の動きがある一方、その埋め戻しの需要も出てきており、「想定通り」(三菱地所)の水準。当面大量供給もないため、空室の大幅な上昇はないとの見通しだ。賃料水準についても「既存テナントの増額改定が受け入れられており、上昇傾向」(三菱地所)と強気な見方もある。

 REITなどへの物件売却が好調だが、「投資案件として相対的に優位性があるのではないか」(三井不動産)と見ている。

 仲介部門は、各社とも増加し、「個人向けの仲介件数が一昨年同期に近い水準にまで回復」(三井不動産)している。中古住宅価格上昇が背景にあり、「一段高の可能性を考える」(住友不動産)ことから取引が活発化している。

 22年3月期通期業績予想は、5社中3社が修正なし、2社が売上高を下方修正した。ただ、下方修正した東急不動産HDの売上高は過去最高を更新し初の1兆円台に、野村不動産HDは各利益が過去最高を更新する見通しだ。