総合

大言小語 ネット広告の攻防

 先の不動産公正取引協議会総会で、公正競争規約の積極的な普及啓発と、違反に対する指導・措置に努めて、ネット広告の適正化に取り組んできた効果がここにきて現れてきたことが報告された。長年、ネット上の違反不動産広告が大問題だったが、発生原因の根絶やデジタル新技術の導入を推進してきたことが実を結びつつある。

 ▼広告のデジタル化との攻防は不動産業にとどまらない。公正取引協議会は不動産業以外にも多くの業界で組織化されている。食料・飲料品、家電・家庭用品等、化粧品等、出版・サービス、自動車等、医療、金融の分野で全国組織の協議会は78を数える。最近はコロナ禍による巣ごもり効果によるEC取引の急拡大もあり、デジタル広告の違反はそれぞれの業界に暗い影を落としている。

 ▼ネット広告の最近の動向をまとめたレポートJARO(日本広告審査機構)で、苦情件数が多かった分野として美容健康系商材、オンラインゲーム、電子書籍・ビデオ・音楽配信サービスが挙げられた。美容健康系商材では、健康食品の苦情が下火にあるものの、不適切な広告で利益を得ていた事業者が商材をシフトしたとみられる化粧品と医薬部外品の苦情が急増し、もぐらたたきの様相を呈している。 ▼不動産DXはこれからが本番、ネット広告適正化も入口に差し掛かったところだ。気を緩めることなく厳格な取り締まりと制度改善に尽力してもらいたい。