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リビングライフ「ペット共生」1棟リノベ 立地不利覆し反響2倍超 既存建物の広さ生かし仕様充実

 リビングライフが9月に販売を開始した、1棟リノベーションによる同社初のペット共生マンション「リリファ相武台」(神奈川県座間市)が好調な売れ行きを見せている。比較的不利とされる立地条件で、価格も周辺相場より高額ながら、都内の同シリーズリノベマンションの2倍超の反響。既存建物の強みを生かした企画で訴求力向上につなげた同物件の詳細を取材した。

 「リリファ相武台」は小田急電鉄小田原線相武台前駅から徒歩11分の立地。建物はRC造・5階建てで総戸数は24戸、竣工は97年10月。同駅は急行停車駅ではなく、駅から徒歩10分超ということもあり立地的な不利は否めない。

 ところが、8月の広告開始からの反響は118件、申し込み・契約数は既に6件。同時期に広告開始の「リリファ世田谷上野毛」(東京都世田谷区、全26戸)は同じ2カ月時点で反響55件、契約等はゼロのため、「相武台」の売れ行きは好調と言えるだろう。

 マーケティング部の香西盛輔課長代理は、「苦戦を予想していたものの、思わぬ好評で猫の手も借りたいほどの反響」と笑顔を見せる。顧客層について、販売を担当するディベロップメント事業部山入端徹課長は「主に20代後半~30代前半の2人世帯でDINKSが中心」と語る。

 間取りはすべて3LDKで、専有面積は約67~79m2。中心価格帯は2900万円前後で、最高3200万円台。山入端課長によると、周辺の中古マンション相場は2000万円台前半までといい、同物件は明らかに高額で、「ペット共生」という企画が好評の要因と考えられる。

「奇跡のような物件」

 同物件の特徴は、1棟リノベにより共用部を含めマンション全体をペット共生仕様としたこと。屋根付きのドッグラン(約85m2)をはじめ、トリミングルームやペット用足洗い場などを設置し、ペット飼育上の利便性を高めた。

 こうした共用設備を導入した背景には、既存の建物自体の特性がある。同物件は国際協力事業団(JICA)の職員住宅として建設されたもので、営利目的の開発事業ではなく敷地や建物の使い方に余裕があるため、共用設備に活用できる余地が大きい。

 他方、同社は以前から「ペット共生マンション」の企画を検討。特に直近では、コロナ禍でペットニーズが高まっていることも考慮し、条件の適した既存物件の取得により同物件の実現に至った。

 専有部でもペット用の多機能スペースを設け、ペット対応床材などを導入。ハード面だけでなく、日本愛玩動物協会など専門家の協力の下、居住者向けの基本的なルール作りなどにも尽力した。

 今後について、山入端課長は「年度内には完売可能」と自信を見せる。一方で、同物件を「奇跡のような物件」と表現し、今後の開発については「新築ではコスト面で非常にハードルが高い」としつつ、「可能ならば、今回の知見を踏まえて、また同様の企画に挑戦したい」と述べた。