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「働き方をデザイン」 サンフロンティア不が新オフィスブランド 乃木坂の旗艦ビル稼働

 サンフロンティア不動産は4月、新たなオフィスブランド「+SHIFT(プラスシフト)」を立ち上げ、稼働を開始した。併せて、フラッグシップと位置付ける新築オフィスビル「プラスシフト ノギザカ」(東京都港区)を建築、開業。また運営する既存オフィスの一部も「プラスシフト」へリブランドし、〝働き方をデザインする〟というコンセプトに基づくオフィスの提供に注力する。

 サンフロンティア不動産は4月21日、東京・乃木坂の「プラスシフト ノギザカ」で報道関係者向け内覧会を実施。新ブランドの説明を行った。

 新ブランドは、同社と設計デザイン会社のドラフト(東京都渋谷区、山下泰樹社長)との協働によるセットアップオフィスという位置付け。そのため、両社で手掛けた既存オフィスも名称等を改め、同一のブランドシリーズとして展開(予定含む)している。

 その中でも、「ノギザカ」は新ブランドの象徴的なオフィスビルとして新築された施設。外観から内装、設備、調度類、雑貨に至るまで、一貫して山下社長がデザインや選定等を手掛けている点が大きな特徴で、サンフロンティア不リプランニング事業部長の小田修平執行役員は「(1人のデザイナーが1棟全体のデザインに携わるのは)オフィスビルとしては世界的にも極めて珍しいのでは」と語る。

オフィスの体験価値向上へ

 新ブランドのコンセプトは、「働き方」「働くこと」をデザインするオフィスという考え方だ。コロナ禍により、従業員が集合する〝オフィス〟という場のあり方が見直される中、柔軟な働き方やスペースの使い方、快適で創造性を刺激する空間、時間と場所を他者と共有することで得られる体験の価値などを高め、成長を促す働き方につなげるという方向性を目指す。

 こうした狙いの実現へ向け、サンフロンティア不は「ノギザカ」に通常以上の投資を行っている。植物の根をモチーフにした特徴的なデザインの外観には、一般的な設計と比べ8000万円程度の追加コストが発生。デザインコストを賃料に反映することが難しい賃貸オフィスビルとしては珍しい試みだ。また内装等も吟味した高グレードの仕様でそろえており、小田執行役員は「当社として最も高コストな内装。通常のオフィスの倍以上、坪当たり100万円程度を要した」と明かす。

手頃な賃料設定でも勝算

 フロアには業務に必要な設備をそろえ、賃料や光熱費、通信費などを含めた施設利用料(フロア単位、初期費用除く)が月額110万(約82m2)~150万円(約133m2)。契約は6カ月以上の1カ月単位。利用料は「1席当たり月額約9万円で、近隣施設の相場と同程度か、やや下回る程度」(同社)に抑えた。とはいえ、競合するセットアップオフィスと比べ「転貸ではなく自社運営ビルであり、広告費などコストの投入先が異なるため、採算性に支障はない」(小田執行役員)と見込む。

 サンフロンティア不は新ブランドを〝次世代のセットアップオフィス〟と位置付けており、7月にも新築ビルでの供給を予定。同社の得意とする既存ビル再生事業に加え、新築物件を積極的に扱うことで事業拡大も目指す。また既存施設と共に新たなアプローチ手法を取り入れ、ニーズや市場の開拓を図っていく方針だ。