売買仲介

不動産競売流通協会 青山代表理事に聞く 一般認知度向上へ注力 ユーチューブ活用など発信力強化

 コロナ禍において競売不動産の注目度の高まりを指摘するのは不動産競売流通協会(FKR)代表理事の青山一広氏。一般ユーザーの認知度向上を図る取り組みや再開した「FKR不動産オークション」の狙いなどについて聞いた。(聞き手・佐々木淳)

 ――20年の振り返りを。

 全国の競売公告数および取引(落札)総額は前年比1割減となった一方で、軍用地や名門ゴルフ場など、商品力のある不動産が競売市場に出てきている。金融機関の締め付けは起きていないため、コロナ禍を契機とした住宅ローン滞納による競売という動きは見られていない。法人所有のビルや店舗が市場で目立ち始めるのもまだ先だろう。

 一般ユーザーの競売不動産への関心も高まっている。全国の競売不動産を扱う一般向けサイト「981・jp」へのアクセス数は緊急事態宣言解除後の20年5月、3倍に増加した。21年以降も競売人気は高く、良質な物件の競争率は高い状況が続くだろう。

 ――協会運営について。

 20年の競売不動産取扱主任者試験では459名が合格した。より高度な不動産業務を目指す不動産業や金融業、士業の従事者、学生が受験。合格者は最年少19歳、最年長73歳と裾野が広がっている。

 当協会会員は現在約270社で、このうち半数の138社が正会員だ。正会員は同資格取得後、競売取引に関するサポート技術を研さんしているため、一般ユーザーは安心して取引を任せられる。また、宅建業者に対しては競売知識をフックにした仲介案件獲得の事例もあることから、競売手法を学ぶことでビジネスチャンスを広げてほしい。

 ――21 年の重点施策は。

 ユーチューブの活用や「981・jp」におけるキャンペーンなど一般ユーザーへの発信力を強化し、競売不動産購入の一歩目を後押しする。そしてその先に、当協会加盟の競売不動産取扱主任者が取引を支援するという仕組みをきちんと示していきたい。

 競売市場を育てる一環として、今年1月18日には第14回不動産オークション(インターネット)を開始した。公平性・透明性を追求した民間オークションで、残金決済までは1~1.5カ月。期限までに確実に売却したい物件向き。相続や破産、債務整理の案件に適している。仲介、買取に加わる3つ目の不動産売却方式として一般人も参加可能だ。現在のアカウント登録数は約2000件を数える。競売不動産の流通は今後更に広がると見る。売主、買主の間に入るプロとして、ビジネスチャンスは広がっていく。