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「性能向上」「コロナ禍」で新提案 リノベ協 20年最優秀事例決定

 リノベーション協議会(山本卓也理事長)は12月10日、東京都内で「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2020」の授賞式と講評会を開催した。1年を代表する魅力的なリノベーション事例を選ぶもの。今年はコロナ禍の感染防止策を講じた開催となり、オンライン配信も行われた。

 施工費別に4部門を設置。全国からエントリーされた268作品を、SNSによる一般ユーザーの声を取り入れた一次審査(61作品を選出)、住宅系メディア編集者8人による最終審査を行った。

 総合グランプリはフレッシュハウス(神奈川県横浜市、中村秀社長)の「リモートワーカーの未来形。木立の中で働く。住まう。」。別荘地に空き家のまま放置されていた延べ床面積60m2未満の祖母の家を、耐震改修と断熱改修を施した上で職住融合の住まいとして再生し、リモートワーカーのオーナーが一人で暮らすという作品だ。同コンテスト選考委員長の島原万丈氏は「20年は性能向上とコロナ禍という2つの文脈が交差した。おひとりさま社会、ウィズコロナ時代のニューノーマル、空き家、性能向上など、今日的キーワードを体現した象徴的な作品」と講評した。

 部門別では、既存の建材や建具をリサイクルしたコストダウンと地産地消の素材を採用した「サスティナブルにスマートハウス」(500万円未満部門、シンプルハウス)や、地方の築45年の元鉄工所を複合施設に再生した「SWEET AS スポーツを中心に地域コミュニティが生まれる場所」(無差別級部門、リノベる)などが最優秀作品賞を受賞した。ニューノーマルのライフスタイルや地方創生に着目した事例も特別賞(14点)として表彰された。

「コロナ禍の負」解決へ

 講評会では、コロナ禍によるライフデザインの見直しや住まい方の多様化のほか、断熱や災害対策など建物に関するコメントが多く聞かれた。今後期待するリノベーションとして、在宅時間の増加に伴うオンオフの切り替えや介護が必要な高齢者への対応、孤独の解決などが挙げられた。

 島原氏は、リーマンショックなど社会的ショックが起こるたびにリノベーション関連のビジネスやムーブメントが存在感を発揮してきたと指摘し、「20年はニューノーマルの第1段階。新たな提案が現状を仕立て直す力を持つリノベーション業界から出てくることを期待する」と述べた。