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大言小語 困窮する国民生活

 中国・武漢から瞬く間に世界に広がった新型コロナウイルスの感染拡大から1年が経った。春先に予測された通り、今また第3波が世界を襲っている。ワクチンや治療薬の供給がようやく視野に入り始めており、コロナ克服もそう遠くはないと期待したい。一方で、経済はますます深刻化していくと見られる。

 ▼NHKなどがコロナ禍による仕事や暮らしへの影響を調べるため、全国の20~64歳までの雇用されている男女6万8000人を対象に実施したアンケート結果がこのほど発表された。それによると、4月以降、解雇や休業、退職など仕事に影響があった人は男性18.7%、女性26.3%。影響があった人の一部では、10月の月収が感染拡大前と比べて3割以上減った人が男性15.6%、女性21.9%に上り、収入が回復していないことも分かった。更に、4月以降、失業し11月の時点で再就職していない人は男性24.1%、女性38.5%となっており、深刻な事態が長期化する恐れがある。

 ▼こうした国民生活の困窮が住宅市場にも影響が及ぶのは時間の問題だ。政府もコロナ対策として各種支援策を打ち出しているものの、必要としている弱者に必要な支援が行き渡っていないことが問題点として指摘されている。住宅弱者救済のための住宅セーフティネットなどを含めて、今後予想される窮地に早急に備えるべきで、一歩も二歩も先回りした支援策が求められる。