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大言小語 人間の未来

 日産自動車が自動運転装置の標準装備を始めた。人間以上に安全な走行が保障される日が近づいている。人間の動物としての機能や感性はどうなっていくのだろうか。100年後には人間が自分で考えなくても機械が考えて、人間よりも効果的・合理的判断を示してくれるようになる日がくるかもしれない。

 ▼江戸時代の人が現代の東京の姿を想像することはできなかっただろう。ただし、それは街が高層化され、暮らしを支える交通手段や通信手段が発達するなど人間を取り巻く環境が大きく変化したにすぎない。それに対しこれからの100年は人間の機能や能力、そして社会的存在価値そのものが変わっていくのではないか。

 ▼「暮らすように働く」はグッドルーム(東京都渋谷区、小倉弘之社長)の人気賃貸オフィス専門サイト「グッドオフィス」のコンセプトである。床に無垢材を使うなど素材やデザインにこだわるオフィスを紹介している。簡単に言えば「居心地の良さ」を重視したオフィス探しができるサイトだ。

 ▼しかし、考えてみると昨今、〝居心地〟などというあやふやなものがテーマになってきているのはなぜだろうか。そこには人間が人間でなくなっていく未来を予感する現代人の不安があるのではないか。だからこそ、ハードや技術といったロジカルではなく、居心地とか感性とかいうあやふやなものに価値を求め始めたのだと思う。