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コロナ禍で伸びる不動産業務支援 宅建業者と〝二人三脚〟 第2波、変わる顧客行動に備える

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バーチャルツアー作成サービス「THETA360.biz」は対面時の接客でも活用できる(写真提供:リコー)
 東日本レインズによると4~6月期における首都圏の成約件数は中古マンションが6428件(前年比33.6%減)、中古戸建てが2638件(同22.1%減)と前年から大幅減少となった。また、ライフル(井上高志社長)が6月に4万人を対象に実施した調査(6面に関連記事)では生活者の3割以上が住み替え・建て替えを検討しているが、検討者の約半数は具体的な行動はせず、様子見の姿勢が続く。新型コロナウイルス感染再拡大の足音が近づく今、不動産営業の現場では何に備え、体制を整えていくべきか。不動産会社の業務支援に取り組む企業の動向から考える。(佐々木淳)

 リコー(山下良則社長執行役員)が展開するバーチャルツアー作成サービス「THETA(シータ)360・biz」が好調だ。360度コンテンツによるプロモーションに加え、19年以降は業務負荷を軽減する機能拡充を推進。コロナ禍の非対面営業ニーズもあり、今年5~6月の新規契約社数はそれぞれ前年同月比の約5倍に増加した。5月にはハトマーク支援機構と提携し、全国の宅建協会会員への導入支援も進める。同サービス開発リーダーの鳥居理氏は、「コロナ禍は不動産営業の手法と働き方の転換点。事業者もエンドユーザーもオンラインサービスや非対面接客など簡略化した住まい探しに慣れたことは大きく、この活用の流れは止まらない」と見る。

 バーチャルツアーは(1)集客、(2)非対面での営業、(3)対面接客時の説明――で活用が進む。具体的には新築戸建てメーカーのオンライン接客による物件案内や、マンションディベロッパーによるウェブ上での顧客接点の強化など。もともと利用の多い賃貸仲介では「ポータルサイトや一括入稿サービス事業者との連携により、大手が集客面で活用を強化。接客、追客では地場・中小企業が業務効率化の側面からも注目している」(鳥居氏)。AIによる自動画像切り出しなどの新機能を積極的に活用するため、既存顧客が上位プランへ移行する動きも出てきたという。

 契約継続率99%を誇る同社は今春、カスタマーサクセス部門を新設。導入後のサポート体制を強化し、360度カメラの撮影方法からバーチャルツアー作成後の営業手法まで具体的に説明している。

アナログとの融合で

 ハウスマート(針山昌幸社長)が提供する「プロポクラウド」は、営業担当者に代わって追客を自動化し、顧客との信頼関係構築を図る売買仲介会社向けツールだ。首都圏1都3県の中古マンションに対応。反応率の高い物件提案によって、メールの開封・物件閲覧状況から顧客の動きを可視化。動きのある顧客を取捨選別し、確実性の高い追客を実現する。同社マーケティングマネージャーの真鍋達哉氏は「運用段階で従来業務と掛け合わせる中で反響が出ている。顧客の反応の温度感を読み、物件の趣味嗜好を捉えて営業マンが架電などコミュニケーションをとるハイブリット型の使い方もある」と説明。新築マンションギャラリーの来店客に対して中古マンション情報を自動提案して成約に至った例もある。

 コロナ禍では多店舗展開する企業からの問い合わせ・導入が目立つとし、7月現在で約140店舗が利用する。同社ではサービス定着と長期活用を促進するため4月にカスタマーサクセス部を新設したほか、5月には売主追客機能を拡充し、購入・売却両面でサービス提供を可能とした。 仲介会社向けに様々なオンラインセミナーを開催しており、7月20日の「コロナ第二波への備え」をテーマとしたセミナーには100名近くが参加。真鍋氏は顧客の売買検討期間長期化やコロナによる新規集客数の減少を見据え、既に接点のある〝そのうち客〟から売り上げをつくる農耕型仲介への転換を推奨。「中長期検討顧客とのつながりが切れないようにコミュニケーションを温め、案件化のタイミングを逃さないことが重要」(真鍋氏)と呼びかける。

「対面の価値」高める運用を

 不動産現場の受け止めはどうか。センチュリー21・ジャパン(C21)の加盟店は、コロナ禍によって来店・契約予定のキャンセルや一時休業による売り上げ減少に直面した。加盟店向けに開催したオンライン接客に関するウェブセミナーには4~5月の計4回で延べ433名が参加。新たな営業対応への関心の高さがうかがえた。

 C21本部は「加盟店は中小企業が大半のため、新しいツールに対する導入障壁は低い」とし、変革に対応しやすい土壌があると指摘。更に「活用が進む加盟店には顧客と従業員のニーズを理解できる経営者に実行力があり、PDCAを円滑に回せていることやボトムアップの提案を素直に受け入れられる体制が整っている傾向がある」と分析する。実際、阪神間で8店舗を展開するC21アクロスコーポレイション(日置幸治会長)は、オンライン重説や「1組様限定内見」を推進し、4~6月の来場者数と売上高は毎月、過去最高を更新。「コロナ禍は社員成長の場」と予測した日置会長のリーダーシップの下、ITツールを含めた機動力の強化が奏功した。

 住所入力のみで物件の周辺情報を簡単に可視化できる不動産営業支援ツール「オウチーノ くらすマッチ」を提供するオウチーノ(長井健尚社長)も、「中小会社は組織がシンプルな上、顧客管理システムが未導入のケースも多く、既存ツールとの連携の難しさは少ない」(同社広報)とし、トップの意思決定が今後の導入加速と営業スタイルの転換の鍵を握ると予測する。

 物件資料の作成時や既存顧客の掘り起こしなどで役立つ同サービスは大手売買仲介会社の利用が活発で7月現在、1100店舗以上で利用されている。更にコロナ禍におけるコミュニケーションと顧客管理を図るため、6月18日には顧客ごとに専用の相談ルームを簡単に作成できる新機能「オンライン相談ルーム」(オプション)の提供も開始した。現在は初月無料とし、中小不動産会社を中心に多数の店舗でトライアル利用が始まっており、「営業現場のITリテラシーがハードルとなるケースは多いため、当社もより直感的で平易に扱えるツールの開発が必要。更なる機能改善を目指す」(同社広報)としている。

選ばれる事業者へ

 このように見てくると、不動産会社は運用段階でようやく成果の芽が出てくることが分かる。コロナ感染拡大の中でも試行錯誤を重ね、事業成長の場とした事業者もあった。支援企業も不動産現場での操作性や既存システムとの連携強化をはじめ、長期活用を促進するための体制を強化している。サービス導入はあくまで出発点と捉え、運用段階での課題に即して機能向上に努める姿勢は不動産事業者にとっても心強い。と同時に、エンドユーザーのシンプルで快適な不動産取引を見据えている点も注視したい。

 支援企業各社はコロナ禍で顧客行動そのものの変化が進み、非対面接客などへの理解を深めた点を指摘する。一方、「コロナで改めて実感したのは『対面コミュニケーションの価値』」(オウチーノ広報)とも言う。コロナ収束を切望しながらも、今取り組むべきは自社の業務フローを見直し、顧客から選ばれる事業者になるための備えではないか。非対面で済む情報のやりとりを精査し、〝対面の価値〟を最大化するための組織体制を構築する。そこにITツールと事業者の創意工夫が合わされば、商機拡大も見えてくるのではないだろうか。

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