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〝働き方〟見つめ直す節目 活躍できる姿を描く 新型コロナや五輪対策で進む改革 社員の意識高揚も重要

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高まるシェアオフィス需要(写真=大東建託)
 自社オフィス以外の場所で就業するテレワーク(在宅勤務)などが新型コロナウイルス感染症対策で、にわかに注目されている。終息が未だ見えず、この〝外圧〟による特殊な状況が背景にある。東京五輪を間近に控えて首都圏の交通渋滞なども見据えると、社員の働き方で企業はどう対応すべきなのか。これまでに実践してきた「働き方改革」に、各企業が改めて向き合う節目の契機となっているようだ。 (坂元浩二)

 遊興地などが静まりかえっている。飲食店やホテルは影響が直撃し、経営の存続さえも危ぶまれる。企業の新卒・中途採用の取り消し、転勤時期の見直しにも波及。新生活の住まい探しを支える不動産業界にも影響が及んでいる。

不動産業界への影響

 日本賃貸住宅管理協会では家主や入居者対応の参考に、実務相談事例を整理した「新型コロナウイルス感染症対策Q&A」を会員限定でHPに公開し、解説している。

 入居者や隣人に感染者がいた場合、消毒や新入居者への重要事項説明義務の有無、社員が罹患した場合などのケースを示した。基本的には各社の顧問弁護士や厚生労働省の指針、管理受託契約に沿うよう適切な対応を求めている。

 新型コロナウイルス感染症対策(以下、コロナ対策)で各社に共通するのは、社員のマスク着用、不要不急な会議やイベントの中止や延期などだ。業務の継続性の担保ではどうか。これまでの「働き方改革」で生産性向上や業務効率化を目的としていた「在宅勤務」や「時差出勤」などの運用を、拡大または応用して緊急的に対応している。

 三菱地所リアルエステートサービスは、コロナ対策に際し、19年10月に正式導入した「フレックスタイム制」を3月末までの限定措置で全社員を「フルフレックス」とし、「在宅勤務」も実施している。

 これまでにも同社は、「顧客との接点の機会を増やし、対応を迅速にできるように」(三菱地所リアルエステートサービス人事部次長働き方改革推進室長兼務の栗原佐知子氏)、各社員にパソコンと携帯電話を支給。営業先などオフィス以外でも就業できる環境を整えてきていた。

 ただ、同社の正式運用では、コロナ対策を除き、完全な在宅勤務は実施していない。現行では提携するサテライトオフィスに限り、移動時間を短縮する目的で1回2時間を限度に利用しており、「時差出勤」の活用のほうが多い。東京五輪期間中の対応(以下、五輪対応)ではこれに、有給休暇と別に取得できる年4日間の「連続休暇」も合わせ運用する。将来的にはコロナ対策の結果もふまえ、新たな制度の検討も進め、メニューの組み合わせで柔軟に運用していく考えでいる。

 東急住宅リースは、既に「時差出勤」が浸透していた。半休よりも自由度の高い「時間休」も導入している。前日までに上長の承認を得れば、朝昼夜を問わず1時間単位で休暇を取得できる。これには大きな狙いがあるようだ(7面に関連インタビュー記事)。

 またコロナ対策としては、訪問先の関係で出勤時間の無駄を省く目的に、在宅で1日2時間を限度に実施していたこの時間制限を限定措置で撤廃した。社外で業務効率の向上を見込める場合とのルールに基づく現行制度を適用し、東急グループのサテライトオフィス就業も活用している。

 今後については、昨年の台風被害の教訓も踏まえ、社員の業務の効率化などに寄与するのであれば、「自宅を含めたモバイルワークを広げていく」(東急住宅リース執行役員経営管理本部総務・人事部長の青山智賀子氏)という。

五輪に備えリハーサル

 大東建託は、現行の「在宅勤務」では育児や介護に対応して週1回と限定的に運用しており、ここでは「残業」も禁止している。ただし、今回のコロナ対策として、その延長線上として在宅勤務を実施したところ、「通勤ストレスの負担を軽減し、保育園の送り迎えが容易になったとの声が届いている」(大東建託人事部勤労課課長の菅野敦志氏)。ほかにもコロナ対策では直行直帰の推進や社員が発症しても迅速に感染経路を特定できるよう外勤社員の行動履歴の記録も徹底している。

 実は同社では、東京五輪対応として、1月末から2月までの2週間に東京・品川本社のグループ社員1200人を対象に、「在宅勤務」や「フレックスタイム制」による「時差出勤」などをリハーサルしている。5月には2回目のリハーサルを首都圏75支店に対象を広げて実施する。

 2回目のリハーサルでは勤務時間の更なる柔軟な運用を考えている。中抜けや半日在宅、時差出勤などのメニューを組み合わせてトライアルする。東京五輪対応の本番では、同社のリーシング店舗では通常営業をする予定だが、今後についてはコロナ対策などの検証を踏まえ、業務に資する手法ならば新たな制度も導入していくようだ。

 働き方改革の取り組みの特例ともいえる今回のコロナ対策や東京五輪に向けた対応。各社ではこれを機に、「在宅勤務」や「時差出勤」が広がりそうだ。大東建託が展開するサービスオフィス「・BASE TORANOMON(ドットベース虎ノ門)」(写真)などコワーキングスペースの需要も高まるだろう。ただ、課題には何があるのか。

在宅勤務の課題感

 経営層からはまず、テレワークでは「社員が外で怠ける」と危惧する声が上がりそうだ。しかし、在宅勤務制度がない多くの現行の各社の社内でも、社員がカチャカチャとパソコンを操作していたとして「仕事をしているフリ」で、本当に成果に資する仕事をしているとは限らない。これは役職者の問題でもある。業務管理の能力がなく、または低ければ、社員によっては社内外に関係なく、目の前にいてもサボり続ける。これはまた別の問題なのだろう。

 この危惧には逆に、「在宅勤務」によって社員の気持ちの中に、「自宅で何をしていたのかを示すために、成果のアウトプットを意識し、自律の精神が一層強まった」(大東建託の菅野課長)との声もある。会社から見えない場所だからこそ、新たな緊張感を生む効果もあるようだ。

 一方で、顧客満足を考えると、「書面とは違う非言語のコミュニケーションが必要な場面では〝対面〟でなければ感じとれない。直接会うことにも大きな意味がある」(三菱地所リアルエステートサービスの栗原次長)というケースもある。一律的な「在宅勤務」の運用が最適なものでもない。社員の自宅に業務に耐えうる通信設備環境などが整っていない場合もある。

 仕事は一つの部署だけでは完結せず、「事前に全社員の在宅勤務や休暇などの勤務シフトを共有して、横の部署の仕事も意識するようにしたい」(大東建託の菅野課長)という新たな仕組みの芽生えのきっかけにもなっている。

導入方法を見極める

 企業としては、「社員が一層活躍できる働く場の環境整備と、働く姿の多様化を整えられるのかどうか」(三菱地所リアルエステートサービスの栗原次長)が重要だ。  今回のコロナ対策や東京五輪対応は、企業が今後、社員の「働き方改革」をどのように進めるべきなのかを改めて考えるべき機会になったのではないだろうか。重要なのは業務の電子化を含めて、各社の業務のため、顧客の利便性にとって、どのような方法の導入が最適なのかを判断し、見極めることなのだろう。

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