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大言小語 シェアハウス拡大の背景

 自分がヒト科の一固体であることを認識するよい方法がある。それは、植物やペットなどヒト科以外の生物と友達になることだ。観葉植物のポトスの葉を(2葉ぐらい)切って水につけておくと半月ほどで新しい葉が生えてくる。金魚を5匹池で飼っているが、梅雨に入って寒い日が続いたときは底に身を潜めてなかなか姿を見せなかった。

 ▼植物や動物からみれば人は特別な存在ではない。あくまでもヒト科の一固体である。我々が金魚を一匹、二匹と数えるように。ただ、人間はあらゆる生き物の中で最もシステマチックな集団生活を送っている。だから、自分の役割を明確に意識することが生きるための第一歩となる。

▼シェアハウスという居住形態が日本に定着してきた。日本シェアハウス協会の調べによると、市場規模は07年と17年を比較すると、事業者数が30から350へ、供給室数が3900から2万5500へと大きく拡大している。

 ▼シェアハウスという集団生活には様々な生活ルールや各自の役割分担が定められ、マナーも重要である。一般の核家族では少子化や共働き夫婦が増えて父親・母親、長男・長女、次男・次女など家族の役割分担が不明確になりつつある。自分の役割が明確でなければ本来人は生きる術(すべ)がないはずだ。つまりシェアハウス市場が拡大している背景には核家族化への潜在的違和感と役割分担への郷愁がある。