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大言小語 あきれて物も言えない

 あきれて物も言えない人も多いのではないか。防衛省で発生した南スーダンの日報、イラクの日報、「加計学園」の愛媛県と安倍首相秘書官との交渉記録……。すべて、既に廃棄した、存在しないだの言われていた文書が何らかの形で残っていることが判明した。一体何を隠して、何から逃れようとしていたのか。

 ▼民間でも取引をする場合、契約書など重要な書類は保存する。ましてや公共機関の場合は、国民の生命や生活に直接帰結するものであるし、歴史資料としても重要だ。後に再評価する場合でも、材料がなければそれは行えない。ある事件や事柄がなかったことにされては、失敗から学ぶこともできない。

 ▼実は行政だけではない。司法の分野でも同様で、検察が勝手に文書や証拠を隠ぺいしたり、抹消したケースがある。これでは犯罪を暴くのではなく、犯罪を作る、どこかの〝山師〟の集団と言われかねない。

 ▼不動産業者は書面を残さないなど信じられないのではないか。宅建業法上でも、帳簿は閉鎖後5年間は保存義務があるし、従業者名簿は最終記載から10年間だ。契約書など破棄したら、その不利は自分に跳ね返ってくる。信頼が薄いなどといわれた不動産業のほうがはるかに真摯に取り組んでいる。皆さんはもっと誇りに思っていいのだが、当然のことと淡々とこなしているのだろう。それもまたよし。