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大言小語 通貨よりも技術を見よ

 仮想通貨取引所コインチェックが顧客から預かっていたNEM約580億円分が外部からの不正アクセスにより流出した。日本では仮想通貨取引などそれほど進んでいないのではと考える人もいるだろう。しかし、実は中国が仮想通貨取引を禁止したことで、仮想通貨を取り扱っている人口が最も多いのが日本なのだ。

 ▼この事件で仮想通貨のイメージが悪くなり、セキュリティ面などで信頼ができないと思う投資家も多くなるだろう。一方で、雨降って地固まるの言葉通り、業界団体の結束の動きや、昨年4月から金融庁の登録が義務化されており(コインチェックは申請中だった)、登録業者の信頼性は増すという声もある。

 ▼識者によれば、仮想通貨は市場の中であれば、参加者がお互いに見守るブロックチェーンの仕組みで信頼性は高いという。問題はそれを通常通貨に両替する際だといい、取引所の内部システムがしっかりしていれば、それを防げるという。

 ▼ブロックチェーンは、理論上、一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。このことから、例えば不動産売買契約書などの宅建士の記名押印の電子化などに使えないかと模索する人もいる。現在の電子署名は煩雑で、利用率も低い。新技術を怖がらず、その危険性をしっかりカバーすることで、新しい世界が広がるのではないか。