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大言小語 身近に潜む危険

 自然が悲鳴を上げるかのように、人や人家に襲いかかっている。大地震や噴火、かつてない津波や地割れが起こり、地盤の陥没も各地で多発。人命にかかわるほどの気温上昇や容赦のない豪雨、そして竜巻、暴風雨による被害も頻発している。落雷によって住宅火災まで発生した。火事、地震、風水害といった脅威に備えるこれまでの常識だけでは、もはや安全とは言えないくらい自然が猛威をふるい始めている。

 ▼これまで人命を守ることが究極の目標とされてきた住まいや建物のあり方も、もう一度見直す必要があるだろう。近年、浸水や土砂災害などの被害リスクの度合いを示すハザードマップなるものも出回っている。住宅性能の安全性を高めるだけでは足らず、暮らす地域、建てる土地についても慎重な判断が求められる。当然、危険性が高くなるほどその需要が下がるというマイナス面も覚悟しておかなければならない。

 ▼古来より、完全に安全といえる土地などこの世には存在しなかった。にもかかわらず、自分が住む家や暮らす地域は安全であって当たり前という、根拠のない過信はもっと問題だ。本来備えているはずの危険の察知能力が、現代人は鈍感になってしまっていることもあるだろう。天災、人災と様々だが、荒れ狂う自然を前にして、常に身近に危険が潜んでいることを改めて思い知らされる。